Researcher とAnalyst

 最後に、Copilotの機能拡張・追加の最新状況と計画について聞いた。

「Copilotの機能拡張に関しては、4月下旬にMicrosoft 365 Copilot Wave 2 Springという形で、Copilotへの新たな『エージェント』機能追加を発表しました。これらのAIエージェント機能は、ユーザーの業務をより適切かつ、幅広く支援するために設計された役割別のAIエージェントです。主なエージェントとしては、『Researcher(リサーチャー)』『Analyst(アナリスト)』『Interpreter(インタープリター)』などがあります。

 Researcher とAnalystは、Copilotに搭載された推論型エージェントです。Researcherは、複雑な調査業務を自動化します。社内外の情報を横断的に収集・要約し、たとえば『競合分析』『業界トレンド調査』『クライアント向け準備』『プロジェクトの状況把握』などに活用可能です。Analystは、複雑なデータ分析を自動化します。OpenAIのモデルを活用し、Pythonコードを使ってデータを段階的に読み解き、仮説を立てながら検証・修正し、最適な結論を導きます。たとえば、複数のExcelからの需要予測、購買パターンの可視化、収益予測などに活用され、迅速かつ高精度な意思決定を支援します。

※ResearcherやAnalystは、2025年5月末より一般提供開始されています。

 Interpreterは、Microsoft Teams会議における多言語コミュニケーションを支援するAIエージェントです。参加者は自分の母国語で話し、他の参加者はそれをリアルタイムで自分の言語で聞くことができます。同時通訳のような体験を提供し、話者の声を模倣する音声合成機能により、自然で一体感のある会話を実現する。グローバル会議や営業・サポート対応、経営層のメッセージ発信などに活用され、言語の壁を越えた会議環境を支えます。ユーザーの同意取得や管理者による制御、通知機能など、プライバシーとガバナンスにも配慮されています。日本語対応は現在パブリックレビュー中で、今後一般提供が予定されています。

 マイクロソフトが働き方のトレンドを年次で発表している2025 Work Trend Index では、人とAIエージェントの適切な組み合わせを活用して業務を遂行する組織概念の登場が示唆されました。AI (エージェント)を、単なる業務の効率化や生産性の向上ツールとしてだけではなく、新たなイノベーション創出を目指すチームの1メンバーとして、どのように活用していくべきかというフェーズに移行しつつあります。その中で、Copilotは業務の支援ツールとしてのAIアシスタントから、知的生産性を高める頼もしい『同僚』として、そしてAI(エージェント)の新たなUIとして、さらに進化していくことが期待されます」(同)

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)