●この記事の特徴 ・Microsoft 365 Copilotは代表的な日本企業の8割以上が導入し、幅広い領域で業務効率向上に活用 ・業務効率によって生まれた余剰時間を新サービスの企画検討など創造的な業務への注力に活かす企業も ・JCBはCopilot導入後に1人あたり月平均約6時間の業務時間削減が確認された
2023年のリリースから約1年半が経過したマイクロソフトのAIアシスタント「Microsoft Copilot」。リリース後も続々と新機能が追加され、今年4月には、パソコンの画面データを記録し続け、AIで処理して画面に映っていたテキスト情報を検索できる機能、「リコール(Recall)」の提供が開始された。Copilotファミリーの中で一般法人向けのMicrosoft 365 Copilotは代表的な日本企業の8割以上が導入し、幅広い領域で業務効率向上に活用されており、一人あたりの業務時間が月平均約6時間削減されたり、会社全体で年間で数万時間の業務効率化が実現されたケースも出ている。業務効率によって生まれた余剰時間を新サービスの企画検討など創造的な業務への注力に活かす企業も出ているというが、Copilotの活用で大きな成果を生んでいる企業は、どのような方法・施策・工夫を行っているのか。また、Copilotの機能・能力を最大限活かす方法とは何か。マイクロソフトに取材した。
●目次
部門や職種を問わず発生する一般業務に対応
Copilotの契約プランは大きく分けて、無料版の「Microsoft Copilot」、一ユーザー当たり月額3200円のサブスクリプション「Microsoft Copilot Pro」、法人向けの同4497円(年払い)の「Microsoft 365 Copilot」がある。今回は法人向けのMicrosoft 365 Copilot(以下、Copilot)についてみていく。Teams、Word、Outlook、PowerPoint、Excelなどのアプリケーションを提供するMicrosoft 365 スイートとシームレスに統合され、職場の生産性と創造性を高めるツールであり、たとえばレポートに基づいてPowerPointスライドのプレゼンテーションを作成したり、Teamsで会議とチャット スレッドを要約したりする。現在、日本においてCopilotを導入している事業者はどれくらいあるのか。マイクロソフトは次のように説明する。
「日本は、Microsoft 365 Copilotの活用において世界を牽引する市場の一つであり、日経225(日経平均株価の算出に用いられる代表的な日本の企業)の85%以上の企業(2025年3月時点)が利用しています。 多くの企業様が業務効率化や生産性向上を目的に導入を進めており、他のどの新しいMicrosoft 365 スイートよりも、最も速いスピードで採用が進んでいます」
Copilotを導入した企業では、具体的にどのような業務効率の成果が生じているのか。
「Microsoft 365 Copilot を導入した企業の多くでは、まず日常的な業務における汎用タスクから活用を始め、業務効率の向上を実感されています。特に、Teams 会議の内容把握や議事録作成、Outlook でのメールの下書きや要約、Word や PowerPoint における資料作成・編集支援、Copilot Chat を活用した社内外情報の検索・収集などが、導入初期から広く利用されています。
これらの機能は、営業、マーケティング、人事、財務、法務など、部門や職種を問わず発生する一般業務に対応しており、結果として多くの企業で大規模展開のきっかけとなっています。また、Microsoft 365 アプリ内に組み込まれていることで、既存の業務環境の中で自然に Copilot を活用できる点も、定着を後押ししており、日常業務の質とスピードを同時に向上させる手段として、広く支持されています」(同)