企業の競争力強化やイノベーション創出に直結
では、 業務効率の向上によって、業務時間の削減やコスト削減につながる事例というのは、あるのか。
「Copilotの導入によって、多くの企業が業務時間やコストの『削減』だけでなく、新たな価値やイノベーションの『創出』に取り組まれています。前述のJCB様が注目しているのは、単なる時間短縮ではなく、その『空いた時間をどう活かすか』です。JCB様では、Copilotによって生まれた余剰時間を、提案資料の質向上や新サービスの企画検討など、より創造的な業務への注力に活かされています。
また、日本製鉄様では、Copilot導入によって年間数万時間の業務効率化が見込まれる一方で、AIを活用した新たな業務プロセスの創出にも注力しています。例えば、現在重要なテーマとして注力されているのが、法務、保全など業務特化型 AI エージェントの活用です。長い歴史の中で培ってきた社内の暗黙知を、生成 AI により発掘して活用することです。経験の浅い従業員も的確かつ迅速な判断が可能になるだろうと期待を寄せて頂いています。人材不足、ベテランの知見消失といった課題を克服し、競争力の向上が図れることに意義を感じていると伺っています。
このように、Copilotの導入は単なる『効率化ツール』ではなく、『創造性を引き出すパートナー』として機能しており、企業の競争力強化やイノベーション創出に直結する成果を生み出しています」(同)
「実はこういう機能を、こう使うと非常に便利」というような機能があれば知りたいところだ。
「Copilot の中でも、最近注目されているのが『AI エージェント(以下、エージェント)』の活用です。これは、特定の業務や部門に特化したAIアシスタントを構築できる機能で、従来の汎用的な生成AIの枠を超え、業務プロセスに深く組み込まれた支援が可能になります。弊社はお客様に提供するサービスをまずはマイクロソフトの社員が徹底的に使いこなし提案することを重視しており、エージェントの活用事例も続々と共有されています。
例えば、社内の問い合わせ対応では、情報検索や回答作成に時間がかかるという課題に対し、エージェントが質問の整理や応答を支援することで業務時間を削減するなど、大きな効果を上げています。また、営業と技術部門の連携においては、属人的だったナレッジをエージェントが可視化・共有することで、工数の削減と案件への対応力強化につながっています。
さらに、営業活動では、顧客情報の収集や提案準備といった時間のかかる業務をエージェントが支援することで、営業担当者の作業削減を実現し、生まれた時間で顧客との対話時間を増やし会話の質を上げるといった効果にもつながっています。また、会社や業界独自の専門用語をエージェントに知識として読み込ませておくことで、翻訳作業の精度を上げるといった実務に寄り添ったユースケースが登場しています。これらの事例は、Copilot Agent が業務フローの中に自然に組み込まれ、個人・チーム・組織全体の生産性向上に貢献していることを示しています。今後も、部門ごとの課題に応じた柔軟な活用が広がっていくと期待されています」(同)