FIFAは、欧州や南米に加えアジアやアフリカのトップクラブを含めたキャンペーンを行い、5,000万ドル(約72億円)以上もの宣伝費を掛けたと報じられ、空席問題を受けてさらに数百万ドルを増額したという。しかし、現地のサッカーファンはMLSや欧州、南米以外のクラブの試合に興味がないことが明らかになってしまった。
さらに、試合日程やチケット販売の詳細発表が遅れたことも、ファンの計画性を妨げた。浦和の公式サイトでは、大会直前までチケット販売の詳細が「決定次第お知らせ」とされており、情報が不足していたことが伺える。万難を排し太平洋を渡った浦和サポーターの行動力には頭が下がるが、「プレW杯」としての位置付けを考えると、「こんなことでW杯本番は大丈夫か」との不安が残る。
一部の試合では、MLB球団に所属する野球選手や、SNSインフルエンサーを起用した集客策が試みられた。しかし、これがサッカーファンに十分に訴求できなかったどころか、集客に苦労していることを詳らかにする結果となり、このマーケティング方法は「FIFAの大失態」と評されている。
また、本クラブW杯の開催期間(6月15日~7月13日)には、米国でCONCACAFゴールドカップも開催されており、国内サッカーファンの関心が分散してしまっている。加えて現在、MLBのシーズン真っ盛りでもあり、相対的にスポーツ観戦の選択肢として優先度は下がってしまう。選手やクラブ側からも、過密日程による負担増への批判があり、これが大会全体の魅力低下にも繋がっているようだ。
次回大会やW杯に向けて
次回2029年のクラブW杯については、2030年W杯本大会の開催国(スペイン・ポルトガル・モロッコ)での開催が有力な一方、アメリカでの再開催案も検討されているという。
出場枠をは今回の32クラブから48クラブにさらに増やし、国や地域単位の出場枠数の制限は撤廃。例えば、今大会に出場しているレッドブル・ザルツブルクなどが出られず、UEFAクラブランキングの高いクラブ(バルセロナやリバプール)に出場権が与えられるようにしたいというのが、FIFAの目論見のようだ。