2024年のコパ・アメリカでのスタジアム周辺の混乱や、反移民政策を背景にした抗議活動の影響も、ファンの心理的ハードルを高めた。


開催環境、交通事情も影響

また、車社会であり、スタジアムへのアクセスは主に車に依存しているアメリカだが、大都市での試合開催では、渋滞や駐車場の不足が問題となる。

例えば、ロサンゼルス郊外のローズボウル(カリフォルニア州パサデナ)で行われたパリ・サンジェルマン対アトレティコ・マドリード(6月16日4-0)の試合では、キックオフ時に観客席が埋まっていなかった理由として、渋滞によりファンが会場に到着できなかったと指摘された。このようなアクセスの問題は、特に平日開催の試合で顕著だ。

さらに、試合会場が全米12都市に分散していることも挙げられる。メットライフ・スタジアム(ニュージャージー州イーストラザフォード)、ハードロック・スタジアム(フロリダ州マイアミ)、ローズボウルなど、収容人数7万人以上の大型スタジアムが使用されているクラブW杯だが、都市間の移動距離が長く複数試合の観戦が難しい状況にあり、シアトル・サウンダーズやインテル・マイアミ、ロサンゼルスといった地元クラブの試合であっても観客動員が伸び悩んでいる。

FIFA 写真:Getty Images

FIFAの大失態:PR不足、詳細決定の遅れ

今クラブW杯は、従来の7チーム形式から32チームに拡大し、4年に1度の新たな大会に変貌を遂げたが、PRが不十分という批判に晒されている。

2017年に廃止された大陸王者の代表チームが集うコンフェデレーションズカップに代わる「プレW杯」の役割を果たすものとして立ち上げられたクラブW杯。しかし、アメリカ内のマーケティング面ではMLSや欧州のスター選手に偏っており、大会全体の魅力を伝えるPRとはならなかったようだ。