母親の匂いが子マウスを安心させることは古くから知られています。
ですが母親がいるときに活性化するニューロンを、母親なしで強制的に活性化させ、母親以外の匂いと結び付けることで、子マウスはその匂いに「母親」を感じるようになっていたのです。
以上の結果から研究者たちは、不確帯にある特定のニューロン(ZISSTニューロン)について「ママと一緒にいると気分がいいニューロン」と名付けました。
ではこのニューロンは、子マウスが大人になるとどうなってしまうのでしょうか?
大人になってからの「ママと一緒にいると気分がいいニューロン」
不確帯にある「ママと一緒にいると気分がいいニューロン」は、大人になるとどうなるのか?
今回の研究では、このニューロンのその後についても調べるために、大人になったマウスで「ママと一緒にいると気分がいいニューロン」の活性化が行われました。
すると意外なことに、大人になったマウスでは不安や恐怖に関連する反応が増大していることが明らかになりました。

そのため研究者たちは「マウスが年をとるにつれて神経回路の役割が変化した可能性がある」と結論しました。
研究者たちも「ママと一緒にいると気分がいいニューロン」を長期的に追跡することができれば、異なるニーズをサポートしたり、非定型発達の児童特有の反応を研究する入口になると述べています。
いつまでたっても親離れできず、病的に母親を必要とする成人においては、ZISSTニューロンが子供のときのまま変化していないなど、神経学的な障害を起こしているのかもしれません。
現在、そのような人々はしばしば「マザコン」と呼ばれていますが、神経学的な障害であることがわかれば、状況が大きく変わるかもしれません。
実際、以前は盲目や難聴、吃音の人々を揶揄する差別的な言葉が多用されていましたが、人々の認識が変わるにつれ、それらの言葉は公の場での使用が不適切なものだとみなされるようになりました。