そして吉田氏が正式に監督に就任すると、2023、2024シーズンとJ1連覇を果たすことになった。


ズデンコ・ベルデニック監督 写真:Getty Images

2012シーズンの大宮アルディージャ

2012シーズンの大宮アルディージャも、2度の監督交代でJ1残留を果たしたクラブだ。この年、鈴木淳監督でスタートしたが、序盤の不振により6月に岡本武行代行監督に交代。その後、ジェフユナイテッド市原(2000-2001)、名古屋グランパスエイト(2002-2003)、ベガルタ仙台(2003-2004)とJクラブでの指揮経験が豊富なスロベニア人指揮官ズデンコ・ベルデニック監督に命運を託した。

ベルデニック監督は、まずフォーメーション変更に着手。3バックから4バックにし崩壊していた守備を立て直した。攻撃面ではシンプルな堅守速攻をベースに、ハードワークと規律を重視し、当時Jリーグ記録となる21戦無敗を記録。降格圏から13位にまで順位を押し上げ、J1残留を達成した。


Jリーグ 写真:Getty Images

成功例と失敗例の違い

Jリーグの歴史を振り返ると、監督を2度交代させても残留に成功したケースは少ない。失敗例としては、セレッソ大阪(2001:副島博志監督/ジョアン・カルロス監督/西村昭宏監督)や川崎フロンターレ(2000:ゼッカ監督/今井敏明監督/小林寛監督)、ジュビロ磐田(2022:名波浩監督/渋谷洋樹監督/フベロ監督)が挙げられる。

成功例と失敗例の違いは、ます後任監督の適応力が挙げられる。成功例では、代行監督が選手の特性を理解し、シンプルで現実的な戦術を採用した。また、成功例に挙げた神戸や大宮では、選手が監督交代の危機を乗り越えるために団結した。一方、失敗例では新監督の戦術がチームに合わず、混乱に拍車を掛ける結果となった。