ただ石破氏がいいとも思えないのです。赤沢大臣が毎週のように通ったアメリカ。期待されたG7でのトランプ氏との合意とはなりませんでした。日本の報道には「日本との交渉はタフ」と出ていますが、報じられていないのが「それなら近いうちに日本に手紙が一枚届くだけだ」というセリフであります。「タフ」という英語は必ずしも良い意味ではなく、むしろ「嫌な相手」というニュアンスがあります。仮に日本がアメリカからお手紙を頂くようならば石破氏は交渉失敗の責任は取らざるを得ないと思います。とすれば参議院選挙が終わった際に石破氏が自らの処遇を決めざるを得なくなる公算もあると私は考えています。
どうするアメリカ、イランに参戦するのか?
アメリカが正式に参戦した場合、アメリカはひと時の勝利の美酒に酔うことはできるかもしれません。そしてトランプ氏にとって政策が冴えず、目だった功績がほとんどないまま約半年がたとうとする中、これが起死回生の一発と考えている節はあります。そしてトランプ氏の性格からすれば戦争は嫌いだけれど市民を巻き添えにせず、核施設を破壊し、指導者を粛正するという限定的な理由なら自分で正当化することは可能であり、参戦に踏み込むような気がします。
仮に想定通りうまく行ったならば次は関税と減税法案に全精力を傾け、より強気の政策にでる可能性は大いにあります。正直、これが怖いと思います。一方、対イラン作戦が絵に描いたような短期決戦で完了するのか、私には想像がつきません。テロもより活発になるような気がします。またイランがアメリカやイスラエルの思惑通りに再生の道を歩むとも思えないのです。イラクがボロボロになってしまったのと同様、一度壊すと修復には非常に時間がかかります。
一方、もう少し壮大な話をすると文明は西に延びる歴史でみれば古代ギリシャからスタートして地球を4/5ほど廻って今、インドまで来たところですが、その次はペルシャの時代に戻るのです。つまりインドの次はイランの時代になれるのか、ほぼ一周、廻った時そのシナリオは崩壊するのか、であります。国家間の紛争解決方法は外交と実力行使の2つ、そして歴史では外交努力は目立たない存在です。今、欧州勢は外交で必死の説得工作を続けますが、アメリカ、イスラエルは「言っても聞かないのなら実力行使」という姿勢を崩しません。これから約10日は歴史に残る事態が生じるのか、目を離せません。