レチノイン酸による細胞への働きかけを応用すれば、傷を瘢痕(はんこん)化させずにきれいに治す治療や、指先程度の部分的な再生は比較的早い段階で実現する可能性もあります。

「最初に手足を形作った生物プログラムを再び動かすことができれば、指一本はおろか手のような大きな部分でも再生できる可能性があります」とモナハン教授は将来への展望を語っています。

再生生物学の地道な研究が、いつの日か人類の「失われた再生能力」を目覚めさせる日が来るかもしれません。

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元論文

Retinoic acid breakdown is required for proximodistal positional identity during axolotl limb regeneration
https://doi.org/10.1038/s41467-025-59497-5

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

ナゾロジー 編集部