もちろん、競争を意識することは悪いことではないし、将来は子供を強者にするためには必要だろう。

だがそのような大規模投資で確実に「勝ち組」に入れる保証はなく、これはエリートサラリーマンへのルートという前提なので起業するならあまり関係がない。さらにAIが台頭する今後はこのような教育がどこまで有効かはわからなくなってきた。また、「鶏口となるも牛後となるなかれ」を考えると本人の幸福度は高いかどうかは別問題である。

結局、我が子をどのように育てたいかで意見が分かれることを考えると「東京出身者は無条件に有利」とは言い切れないと思っている。

高すぎる生活コスト

過去に40代年収400万の上京組は実家へ帰りなさいという記事を書いたが、東京はあまりにも生活コストが高く、平均年収では「生活が苦しい」と感じる場所である。東京23区のワンルームマンションの家賃は月10万円以上が相場であるのに対し、地方都市では月5万円程度で広い部屋を借りることができる。

若い頃は夢に溢れ、転職や昇進、起業などで人生を大きく花開かせるチャンスがあるので多少苦しくても気にならない。筆者も上京した時は南千住にある3畳しかない日雇い労働者用の宿に住み、「仕事で頑張って脱出してやる」という気概に溢れていた時期がある(その後、仕事を見つけてボロいがマンションへ引っ越しができた)。

「東京には魅力的な仕事がある」というのは確かに正しい。だが、それは高給の仕事を見つけた時に大きな意味を持つ。特に子育て世代はファミリー層向けマンションを賃貸、購入しようとすると毎月かなりの巨費を投じることになるか、長距離通勤を余儀なくされる。

上京した人なら田舎に帰るという選択肢を持てるが、東京出身者は全員ではないが、田舎に移住するという発想自体がない事が多いのではないだろうか。筆者の知る東京出身者の中には「東京以外に住んだことがない」という人ばかりだ。それは当然の感覚だ。しかし、であるがゆえに稼げなければ生活が苦しくなる。