つまり、働き手にとっても計画を持つことが必要なのだ。 ただ雇われているだけではなく、自分のスキルをどう高め、どう価値を示すかを考えなければならない。
消費者にとっても他人事ではない。多くの人が「企業が負担を吸収してくれるだろう」と期待しているかもしれない。だが、それは甘い幻想である。
サイゼリヤのように、効率化やコスト削減の努力によって低価格を維持できる企業は例外である。多くの企業は、コスト増を価格転嫁する以外に生き残る方法がない。企業が人件費の増加を吸収できなければ、商品やサービスの価格は確実に上がる。 これは避けられない現実だ。この時代に「安さ」を期待するのは、無謀と言っても過言ではない。
では、消費者はどうすれば良いのか? 答えは明確で、生活の自衛を考えることだ。
具体的には、生活費の見直し、必要なものと不要なものを区別する、購入先を選び、価値に見合った支払いをすること。
最低賃金1500円という変化は、消費者に対しても計画を持つことを求めている。もはや、安価な商品やサービスを当然視する時代は終わった。
生き残るのは「計画を持つ者」だけ
最低賃金1500円時代は、避けられない現実だ。だが、計画を持つ者にとっては生き残るチャンスでもある。
経営者は、売上・コスト・効率化を具体的に数字で示し、現実的なシナリオを描け。 働き手は、自分の職場がどう対応するのかを確認し、自分のスキルを磨け。 消費者は、高値を避けられない現実を受け入れ、生活の自衛を考えよ。
この変化を前に、「なんとなくでやり過ごす」という選択肢はもはや存在しない。 計画を持つ者だけが生き残る。
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濵口 誠一 中小企業診断士 従業員2万名の企業から10名の企業まで、約20年経営企画に従事し1000件以上の事業計画を策定。現在は中小企業診断士として経営戦略から実行支援まで行う。言語化・数値化を得意とし「話しているだけで悩みが解決した」「目標が従業員に伝わるようになった」という評価多数。