風間のようなボールを動かしながらゲームをコントロールできるテクニシャンにとっては、自身の持ち味を存分に発揮できる環境であるとも言えるだろう。急なスコールに見舞われることも多く、ピッチコンディションが試合の行方を左右する場面も少なくない。


アルビレックス新潟 写真:Getty Images

実質的に2強時代

現在のSPLは実質的に、新潟Sとライオン・シティ・セーラーズとの2強時代で、それに伝統クラブが続くという構図となっている。SPLを引っ張るこの2クラブは、AFC主催大会でも戦える実力があると見られている。

新潟Sは、Jリーグで出場機会に恵まれない若手選手や、経験豊富なベテラン選手の受け皿として機能してきた。実力は群を抜いており、2016年から2018年にかけては国内タイトルを3年連続で完全制覇(リーグ、シンガポールカップ、リーグカップの3冠)するという偉業を達成。近年も常に優勝争いの中心におり、2022年、2023年とリーグ連覇を果たした。これまでにリーグ優勝6回、シンガポールカップ優勝4回と、数々のタイトルを獲得している。

しかし、リーグの活性化と地元出身選手の育成という観点から、2024シーズンからクラブの選手構成をシンガポール国籍選手を中心とする方針へと大きく転換。これまでのように日本人選手で固めるのではなく、シンガポール人選手主体のチーム作りへと舵を切ったことは、クラブにとってもリーグにとっても大きな転換点となった。

新潟Sの対抗馬として急速に台頭してきたのが、ライオン・シティ・セーラーズだ。2020年にシンガポールに拠点を置く巨大IT企業「Sea Limited」がクラブを買収。2021年に新潟Sの連覇を止め、クラブ史上初のリーグ優勝を成し遂げた。豊富な資金力を背景に元ベルギー代表MFマキシム・レスティエンヌや、元韓国代表FWキム・シンウク(現香港プレミアリーグ・傑志)といった選手を獲得。さらに、現役シンガポール代表選手をほぼ独占するなど圧倒的な戦力を誇り、リーグの勢力図を塗り替えつつある。