その後、リーグのブランドイメージ向上を図るため、2018年に現在のシンガポールプレミアリーグ(SPL)へと改称。Sリーグ時代は8クラブで発足し最高で13クラブ(2012)が参戦するも、経営難によるクラブ解散などでクラブ数が定まらないリーグだったが、SPL発足後は9クラブで構成されている。

純粋なシンガポールのクラブに加え、前出の新潟Sのような日本のクラブ、ブルネイ国王がオーナーを務めるブルネイDPMM FCが参加している点は、他国のリーグには見られないSPLのユニークな最大の特徴だ。また、シンガポールサッカー協会(FAS)が音頭を取る形でU-23シンガポール代表候補をヤング・ライオンズと称してリーグに参加させている。

シーズンはかつて、2月から10月頃にかけての春秋制で開催されてきたが、AFC(アジアサッカー連盟)のカレンダーに合わせるため、Jリーグに先駆けて2024年に秋春制に変更した。外国人枠は、各クラブが登録できる外国籍選手は最大4名(うち1名はAFC加盟国の国籍を有する選手)と定められているが、新潟SやDPMM、ヤング・ライオンズには別途規定が設けられている。


リーグレベルはJ2下位からJ3程度?

SPLのレベルをJリーグと比較すると、一般的には「J2下位からJ3程度」と言われているが、AFCクラブコンペティションランキングでは15位に位置し、これはバーレーン(16位)、オマーン(17位)、クウェート(22位)、インドネシア(28位)のリーグよりも上だ。

技術レベルの高い選手は存在するものの、リーグ全体として見ると、戦術的な緻密さや攻守の切り替えといった面ではJリーグにはまだまだ及ばない。一方、東南アジア特有のフィジカルのぶつかり合いや、個人突破を試みる選手がファンに歓迎される傾向にある。

また、シンガポールのサッカーを語る上で欠かせないのが、その気候だ。赤道直下に位置するため、年間を通じて高温多湿。日中の気温は常に30度を超え、湿度も80%を超える。この過酷な環境は選手のプレーにも大きな影響を与え、90分間を通してハイプレスをかけ続けるJリーグのようなインテンシティーの高いサッカーを展開することは困難だ。試合展開は比較的スローになりがちで、ボールを保持しながら機を窺い、試合の要所でギアを上げるという戦い方が主流となる。