そして風間が加入するタンピネス・ローバーズは、この2強が注目を集める以前からリーグを代表するクラブとして君臨してきた。リーグ優勝5回を誇る古豪であり、安定して上位争いに加わっている。元日本代表DF田中誠氏(現鹿島アントラーズコーチ)も過去に在籍。近年は2強の後塵を拝しているが、その地力と歴史は侮れない存在だ。風間が移籍した場合、2クラブとの対戦は大きな見どころとなるだろう。

風間の移籍がキャリアパスの多様性を示す?
多くの日本人選手にとって海外挑戦の手掛かり、あるいは新たなキャリアを積むリーグとして、重要な役割を果たしてきたSPL。W杯経験者である元日本代表MF戸田和幸氏(2013年引退)はキャリアの最後にウォリアーズFCでプレーし、SPLが実績のあるJリーガーを高く評価していることを証明した。
また、新潟Sの存在は、日本人選手にとって計り知れない。ここでの活躍が認められ、Jリーグや他のアジア諸国のリーグへステップアップしていく例も多い。元日本代表の酒井高徳(現ヴィッセル神戸)も、ユース時代に短期留学で在籍した経験を持つ。
しかし、Jリーグで確固たる地位を築いた選手が、キャリアの晩年ではなく、まだ十分にトップフォームでプレーできる年齢で東南アジアのリーグを選択するケースはまだ多くはない。風間の移籍は日本人選手にとってのキャリアパスの多様性を示す象徴的な出来事となる可能性がある。
J1、J2で通算370試合を超える出場経験を誇る風間が、33歳でSPLに挑戦する意味は大きいだろう。彼の最大の武器は、正確なキックと戦況を的確に読むインテリジェンス、そして狭いエリアでもボールを失わない高い技術だ。個々の技術や戦術眼がより際立つSPLで、中盤の司令塔としてゲームを組み立て、セットプレーではキッカーとして決定的な仕事が期待される。
