ただしパワーが足りず魚が浮きません。まるでヘラ釣り中に鯉が掛かったような状況です。

現れた燻銀の魚体

魚をあやしながら下流に誘導すると、一瞬浮いた魚体は40cm超の鱒。燻銀に輝く立派な魚です。

流心へ逃げる魚に竿を立てて耐えますが、なかなか止まりません。この時、私は気づかぬうちに入水しており、50cmほどの水深にベストが浸かっていました。夢中になり、友釣りをしているような錯覚すら覚えました。

大物を仕留めることは叶わず

魚の下流でランディングを狙おうと竿を回しましたが、魚は私の動きを見て、流れに乗り堰へと突進。竿とラインが一直線になった瞬間、なす術はありませんでした。

約10分間のドラマでした。天上糸の下、0.6号のラインと目印を残して、魚は堰の下流へ消えていきました。小さな針はそう簡単には外れないはずです。もし、この魚に出会った方がいたら、優しくリリースしてあげてください。

放心状態で竿がやけに軽く感じます。その後、20cmほどのヤマメとウグイを追加したところで、小雨が降り出したため納竿としました。

福島・栃木釣行の振り返り

桜も咲き、東京の暖かさに心が躍り、南会津へ岩魚釣りに向かいましたが、結果としては惨敗に終わりました。湯ノ花温泉周辺の桜の開花時期は、札幌と同じくらいだそうです。

小沢の杣道もまだ雪が深く、なにより林道の通行止めは久々の“アウト”でした。今年は雪が多いとは聞いていましたが、やや侮ってしまった感があります。

福島・栃木を巡る2泊3日の渓流釣り旅 「雪代ヤマメ」や「頂鱒」と対面成功下処理したヤマメ(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)

本流は長竿が必要

雪代が出ている本流では、長竿がないと釣りにならないことも実感しました。ルアー釣りは、私の腕では通用しないほどの難しさでしたが、それでも型を見ることができたのは幸運だったと思います。

数カ所を巡った支流は、あと1カ月もすれば竿を出せる状態になっているでしょう。箒川では、前日の現地調査が功を奏し、釣り人との出会いが釣果に直結しました。