千葉 多義性を扱うレトリックが軽んじられてファクトに座を譲ったように、いまは「言葉と意味とは一対一で対応すべきだ」という信仰が強すぎて、そこから「差別的でない新語にすべてを言い換えて世界を覆い尽くそう」とする発想が出てきた。自然科学的な規則志向やエビデンス主義が、人文学の内部にまで侵入してきました。

與那覇 陰謀論とエビデンス主義とは、一見すると正反対ですが、「世界が多義的なものであることを拒絶し、単一の原理のみに回収しようとする」志向では通底しているわけですね。リベラル派が大衆を抑圧する姿勢へと反転した謎を解くカギも、そこにありそうです。

『過剰可視化社会』156頁

イーロン・マスクですら最近ぱっとしないように、「国家の人格分裂」を治癒することが政治の任務になる時代には、正しい意味で文学ができる人こそがいちばん強い。そのことに無知な②や、むしろ人文学の「裏切者」である③をしっかり排斥することは、国力を回復する上で急務なのだ。

「極端主義」の時代: 文学が政治学よりも役に立つとき|Yonaha Jun
前回の記事の補足と、別の出演情報の紹介。先月に続き『創価新報』の10月号で、創価学会青年部長の西方光雄さんと対談しています。今回の(特に前半の)テーマは、いま世界的に見られる「中道政治の衰退」。 穏健な二大政党制の母国イギリスで政権交代したら、過激派が路上で移民排斥を唱えて暴動になり、知性ある民主主義の国フランスで...

……というわけで、戦後で最強の「文芸評論家」であり、かつ日米関係を根底から問う批評家だった江藤淳と加藤典洋を、扱う拙著がもっと読まれると嬉しい。ぜひ今後とも応援のほど、何卒よろしくお願いします!

参考記事:1つめの6/25イベントもぜひ!

「推し」でも「アンチ」でもない生き方のために…文芸評論の双璧「江藤淳と加藤典洋」に学ぶ
※本イベントはリアルタイム配信と見逃し視聴(1ヶ月)でご参加いただけるイベントです。 新潮社が運営するオンライン学習サービス「新潮社 本の学校」は、学びたい人のニーズに応える「文系... powered by Peatix : More than a ticket.
なぜいまポリコレは挫折し、かつもっと「挫折させるべき」であるのか|Yonaha Jun
今週末に発売の『表現者クライテリオン』3月号に、フェミニストの柴田英里さんとの対談「「議論しないフェミニズム」はどこへ向かうのか?」の後編が載っています! 前編の紹介はこちらから。 今回も盛り沢山ですが、特に注目なのは、柴田さんに美術家としての哲学を伺うなかで―― 柴田 アイデンティティを構築する上では排除の段...