これと比較すると、VarEVoltの18秒充電の革新性は際立っています。
また、VarEVoltはF1マシン並みの「パワー密度(瞬間出力能力)」を持ち、その数値は6 kW/kgで市販EVの約10倍にあたります。ただしこれは、長時間保存できる「エネルギー密度」とは異なる概念です。
ただし、「18秒でのフル充電」は現時点では研究所での試験値であり、実験車両への搭載実証映像や第三者による試験報告はまだ公開されていません。
18秒で充電するメカニズム

では、なぜこれほど高速な充電・放電が可能なのでしょうか?
バッテリーの電極や溶液の正確な化学的情報は(企業秘密で)公開されていないものの、もし仮に正極にニッケル・マンガン系(NMC)、負極にリチウムチタン系(LTO)を組み合わせれば、内部抵抗を極端に下げてることが可能だと考えられます。
またBASFの公式リリースによれば、VarEVoltのバッテリーパックはセル全体を絶縁冷却液に沈める液浸冷却方式を採用し、外装ケースにはガラス繊維強化ポリアミド樹脂Ultramid B3EG7、セルホルダーにはUltramid A3EG6 EQが使われているとのこと。
「セルを直接冷やす絶縁液」×「軽量高剛性のガラス繊維入りナイロン外装」という組み合わせは、高熱負荷でも均一温度を保ち、火災リスクを下げ、構造を簡素化しながら軽量化と量産性まで確保できるのが大きな魅力と考えられます。
またバッテリーの中身が“レゴブロック”のように組み替え可能な独自構造にあることも大きな特徴です。
RMLはセルひとつひとつを小さなモジュールにまとめ、必要に応じて積み増したり並べ替えたりできる設計を採用しました。
このおかげで、最高出力を優先した“瞬発力仕様”にも、長い航続距離を稼ぐ“持久力仕様”にも自在にチューニングできます。