その前の週には、イーロン・マスクが、政府支出はそもそもGDPに含めるべきではないと投稿しました。なぜなら、「自動車を作っている人全員をDMV(陸運局)で働かせても、GDPの数字は同じに見えてしまう」からとのことです。

マスクの言っていることは、正しいことです。

実際には、GDPが上がってしまう可能性すらあるのです。

なぜならGDPは「産出量」、つまり市場価格で評価される財やサービスをカウントするからです。

しかし、政府がすることには、市場価格がついた「産出物」が存在しません。

そのため、政府の統計官たちは、代わりに給与やその他のコストを合計するだけなのです。つまり、アメリカ中の自動車工場をすべて閉鎖して、そこの労働者に「窓の外を眺めるだけ」という公務員にし、高い給料を与えれば、GDPは上昇してしまうということになります。

1.GDPの計算方法

理論上、GDPは国内で生産されたすべての最終財・サービスの価値をカウントするものです。

多くの人は、これを「豊かさ」の指標として用います。

GDPが上がれば私たちは豊かになり、下がれば不景気で困っていると見なされます。

GDPが6か月連続(つまり2四半期連続)で下がれば、それは典型的な「景気後退」の定義となります。そして人々はそれを「急速に貧しくなっている」と解釈します。

これは民間部門については基本的に正しいことです。

GDPの上昇は、生産の増加を意味し、それは私たちの豊かさにつながります。

ただし、子育てのようにお金のやり取りが発生しない価値ある活動は、GDPに含まれないというただし書きはあります。

2.GDPと政府支出

しかし、政府が関わると話はおかしくなります。

その一因は、先ほど述べたとおり、GDPが政府支出を「産出物」ではなく「支出」でカウントしてしまうことです。

そしてもう一つの理由は、政府が実際に生み出しているものの質が極めて低いということです。