一方で、彼の保守的とも言える戦術には、攻撃的なサッカーを好む日本代表サポーターからの期待とのズレが生じるリスクもある。さらに70歳という年齢から来る体力的な不安があり、アジアサッカーへの適応も未知数だ。しかし、その経験や実績は魅力的に映る。

ダニエル・ガルネロ監督 写真:Getty Images

ダニエル・ガルネロ監督(56歳/ウニベルシダ・カトリカ監督)

3人目は、先頃、選手としてプレーしたチリの名門ウニベルシダ・カトリカに約30年ぶりに監督として戻った、アルゼンチン人指揮官のダニエル・ガルネロ監督だ。キャリアは南米を転々としている。

2022年と2023年、パラグアイの強豪クラブ・リベルタッドでリーグ連覇を達成し、その実績が買われて2023年からはパラグアイ代表監督に就任。W杯南米予選やコパ・アメリカでチームを率い、堅守速攻のスタイルを浸透させた。戦術は【4-4-2】や【4-3-3】を併用し、攻守の切り替えの速さと組織的なプレスが特徴だ。

森保ジャパンも【4-2-3-1】や【4-3-3】を基盤にハイプレスと速攻を組み合わせたサッカーを展開していたため、現在の日本代表のスタイルと親和性が高い。ガルネロ監督の下では、MF遠藤航やMF守田英正の中盤でのボール奪取力をさらに強化し、三笘やMF伊東純也のサイド攻撃を効果的に引き出せるだろう。また、南米サッカーのフィジカル面や狡猾さを熟知しているため、アジア予選でのタフな試合で優位性を発揮できる。

問題は、欧州サッカー経験の少なさだ。日本代表の選手のほとんどが欧州でプレーしており、ガルネロ監督が彼らの環境や戦術トレンドにどれだけ適応できるかは未知数だ。しかし、アルゼンチン人監督特有と言える戦術へのこだわりが、選手たちに新たな刺激を与えるだろう。パラグアイ代表での実績を踏まえれば、アジアの舞台でも結果を残せるポテンシャルは十分にある。


ウィリー・サニョル監督 写真:Getty Images

ウィリー・サニョル監督(48歳/ジョージア代表監督)