問題があるとすれば、ポーランド国外での指導経験が少ない点だろう。アジアサッカー特有の環境や文化への適応が課題となる可能性がある。それでも、彼の情熱的で選手との距離が近い指導スタイルは、日本の若手選手たちにポジティブな影響を与えるだろう。

フェルナンド・サントス監督(70歳/アゼルバイジャン代表監督)
2人目は、フェルナンド・サントス監督だ。ポルト(1998-2001)、スポルティングCP(2003-2004)、ベンフィカ(2006-2007)の「トレス・グランデス」と呼ばれるプリメイラ・リーガ3強を率いた経験があり、代表監督としても、ギリシャ代表(2010-2014)、母国のポルトガル代表(2014-2022)、 ポーランド代表(2023)を経て、2024年からはアゼルバイジャン代表監督を率いている。
2016年のUEFA欧州選手権(ユーロ)ではポルトガル代表を初優勝に導き、2019年のUEFAネーションズリーグでも同大会初代王者に輝いた。FWクリスティアーノ・ロナウドを中心としながらも、堅実な守備をベースとしたチーム作りを得意とする。
2022年のカタールW杯では、決勝トーナメント1回戦のスイス代表戦でエースのロナウドをベンチに置き、若手FWゴンサロ・ラモスを先発に抜擢。ラモスはこの試合でハットトリックの大活躍。続く準々決勝モロッコ代表戦でも同様に、試合には敗れてしまったが、大エースを外してまで“旬”の若手を起用する大胆な采配を見せた。
サントス監督の強みは、このような大一番での思い切った選手起用だ。日本代表にとって彼のような経験豊富な監督は、トーナメントでの戦い方を熟知している点で理想的だ。戦術は【5-4-1】や【4-3-3】を基盤とし、守備ブロックを低く設定してカウンターを狙うスタイルが特徴であり、DF冨安健洋やDF板倉滉といったセンターバックを軸にした守備の安定感を高めつつ、三笘やFW伊東純也のスピードを活かした攻撃が可能になる。スター選手のマネジメントにも長けており、久保や堂安のような個性的な選手を効果的に起用できるだろう。