ヒザのケガのため21歳の若さで現役引退したスキッベ監督は、古巣シャルケのユースで指導者キャリアをスタートさせ、国内ではボルシア・ドルトムントやバイエル・レバークーゼン、国外でもガラタサライ(トルコ)やグラスホッパー・クラブ・チューリッヒ (スイス)など欧州の名門クラブでの指導経験も豊富だ。ギリシャ代表監督の経験もあり(2015-2018)、これだけ実績のある指揮官の招聘を成功させた広島フロントの慧眼には恐れ入ったという他ない。

スキッベ監督の最大の強みは、日本サッカーへの理解だろう。広島で4シーズン目を戦っていることでJリーグの文化や選手の特性を熟知し、大卒ルーキーのFW中村草太や、ユース出身のMF東俊希を起用しながら成長を促した実績がある。この経験は、日本代表監督として選手やJ各クラブとの信頼関係を築く上で大きなアドバンテージとなる。

戦術的には【3-4-2-1】をベースとしながらも、試合中に可変するシステムを採用し、ハイプレスとサイド攻撃を重視。守備の安定性を担保しながらも中盤での創造性を引き出している。

また、ドイツサッカーのメソッドを背景に持ち、欧州での指導経験も豊富だ。欧州で活躍する日本人選手の多くがブンデスリーガやプレミアリーグでプレーする中、彼の戦術的アプローチは選手たちに自然に受け入れられるだろう。

広島就任1年目にして優秀監督賞を受賞し、月間優秀監督賞にも複数回選ばれている。就任以来、3シーズン連続3位以内という成績は、毎年のように主力選手が海を渡っていることを考慮すれば、優秀だと言える。

これといった短所は見当たらないが、強いて挙げれば指導への情熱が時として審判批判に繋がってしまう点だろうか。今2025シーズンの名古屋グランパス戦後、審判団を猛批判。その末、2試合のベンチ入り停止と罰金20万円の処分を受けた。それでも、日本での実績と欧州サッカーへの造詣を考慮すれば、「ポスト森保」の有力候補の1人であると言えるだろう。