「自分にとっても下北沢は大事な場所だが、本当に良い再開発が行われて関係者に頭が下がる思いです」

…みたいなことを言ってて、”彼ですら”そういう意見なら、ちょっと言いづらいとしても大筋としては「成功」と考えている関係者は多いんだろうなと思いました。

< ただ、その僕の昔の記事で書いたように、この再開発がまあまあ成功しているのは、以下のような特殊な条件があってこそ、みたいなところはあるんですよね。

(以前の記事より引用)

・事業者(小田急)がその土地に関する”ほぼ全権”を単独で持っており、地下化した線路さえ通せれば地上がどうなっても当面はOKだった ・「下北沢」自体に強烈なブランド性とキャラ付けがもともとあり、住民自体が結束して意味のある意見を提示できた

つまり下北沢では、ちゃんと「全権をグリップして責任持ってる存在」がいて、かつ「価値観の共有」がもともとある上で丁寧に話をすることができていた。

こういう条件は普通そこまで簡単には揃わないので、なかなかこれを他の土地でもやれる「再現性」を持てるかどうかというのは結構難しい側面もある。

どうやったら「再現性」を持ってこういう試みを全国各地でもやれるか?というのは、これから色々な場所で工夫していくことが必要な論点なのかなと思います。

ただ、もう少し踏み込んで分析的に語ると、

「仏を作る部分」と「作った仏に魂をいれる部分」

…に、それぞれもう少し応用可能な知見はあるように思います。

ここまで書いてきた記事をこの視点でまとめると、以下の二点が重要だと言えます。

●「仏を作る部分」 ↓ 「儲けるところ」と「特別な価値を出すところ」を分けて全体で帳尻を合わせるビジネスモデル設計 ↓ BONUS TRACKが下北沢駅近くの部分の賃料で大きく稼ぎつつ、駅から遠い部分は安い賃料にしてエリア全体の価値をあげるように配慮している部分

●「作った仏に魂をいれる部分」 ↓ 実際に成立しているビジネスモデルが”意味”を持ち続けられるような細部の配慮を続けられる人事的な配置を長期的に維持できるか ↓ BONUS TRACKがコミュニティマネージャーを置いて人間関係を密に保ち、尖ったイベントばかりやって地域から浮いた存在にならないような配慮ができるか、といった部分

4. 最新型のビジネスモデルの工夫と「カルチャー界隈の思い」が交わる時