とにかく、こうやって「変人側の意志」が「リクナビ的な官僚主義」的な制度の壁を超えて大資本とコラボでき、「陰キャの精神世界」が適切に現実世界に還流するようになると、今度は逆に「スーツ組の言ってることにも必要な意味はあるんだね」という話になってきやすいところがあるのが、これから期待できるところだなと思います。

例えば、「世田谷の個人店」が好きな人は「湾岸のタワマン」とか大嫌いな人多いですけど、ただ過去20年の東京において、

「湾岸にタワマンをバカスカ建てた」→「世田谷の家賃水準を大きく下げて”過剰な高級化”(ジェントリフィケーション)を防いだ」

⋯という因果関係は明らかにあるんですよね。

東京は、他の主要な世界都市に比べると圧倒的に巨大な住宅供給をしてきたので、その事でニューヨークやロンドンやパリの周縁部ならありえない低価格で世田谷とかに住める状態になってるんですよ。

世田谷も最近は徐々に地価高騰を免れ得なくなってきてますが、少なくとも過去20年の下北沢とかで「面白い個人店」が生き残れた構造を、「世田谷以外の場所でタワマンをバカスカ建てたこと」が支えていることは間違いない。

他のわかりやすい例としては、今は「サブカル世界の星」的な存在である中野ブロードウェイは建設時に「東洋一のビルディング」と呼ばれ、当時のトップアイドルだった沢田研二も住んでたような今の「タワマン的存在」だったんですよね。

だからその時代の最先端的な「タワマン」的存在も、超科学都市のラピュタを木の根が取り囲むように、時代の流れとともに「カルチャー的に魂をコメていく」ことは可能なはずなんですね。

つまり、「カルチャー界隈」から見て「不倶戴天の敵」のように見えた「スーツ着てる存在」が考えていることは、「敵」じゃなくて「実は相互に補い合っている構造を持つ味方」の存在なんですよ。

お互いが持つ「ベタな正義」を否定しあわない、両立する「メタ正義」を考えていく機運が、色々な最新型のビジネスモデルの進化という形で見えてきているのだ、という希望を、この記事から感じていただければ嬉しいです。

8. さいごに 「世界中で起きている分断」を超える連携を東京発で作れるか?