また、わざわざ動力を使って空気輸送するのは損なので、冷却ファンの空気流とか自販機から出る廃熱による自然対流などを利用するだろう。

こうした工夫を凝らしても、普通の空気からCO2を効率的に吸収するのは結構大変で、だから1台の自販機の消費電力はそんなに大きくないはずだが、使用電力分に相当するCO2の最大20%程度しか吸収できないわけである。

ちなみに、生成する炭酸カルシウムCaCO3は、純度が高ければ食品添加物や薬品にも使われるが、この場合は各種のほこりなども含まれるので建材等にしか使えないのだろう。実を言えば、人工透析患者である私は、以前に血中リン濃度を下げる薬として炭酸カルシウム(炭カル)を服用していたのであるが、その薬の名前は「カルタン」だったと言う笑い話(?)がある。

いずれにせよ、アルカリ系物質などを使って大気中CO2を吸収する試みは、人為的CO2起源地球温暖化説が出て以来、これを根本的に解決する手段として大いに期待されたのであるが、実際にはほとんど効果が得られていない。エネルギー的に見て間尺に合わない(=吸収に要するエネルギーが吸収されるCO2エネルギー換算値より大きい)か、コスト的に勘定に合わない(=要するコストが回収CO2の節約コストより大きい)場合が大半だからである。

経済的制約も大きく、例えばアミン系薬品をコンクリート構造物に含浸させる技術などは、日本国内で3億トン以上のCO2固定ポテンシャルを持つとの試算もあり期待も大きいが、課題は何と言ってもコストなのである。

以前に話題になった「世界最小のCO2回収装置」とする「ひやっしー」も、その一例だろう。これは朝日新聞に載って結構な騒ぎになった。

CO2回収サブスク賛否 手がける村木風海さんの主張と専門家の批判