このように、青は単なる「色のバリエーション」ではなく、分子レベルで極めて精密な生化学的条件がそろったときようやく現れる色なのです。

モルフォ蝶の鮮やかな青い翅に青の色素はない/Credit:canva

私たちが自然界で見ている「青」という色は、思っている以上に特別な存在です。

青い色素は分子レベルで繊細な化学的相互作用が必要あり、青いヤドクガエルや、モルフォ蝶のような青く見える生物の報告はありますが、これらは表面の微細構造が作る構造色という光のマジックです。

これは青い色素を生むより、青が表現したければ構造色を使った方が進化上も容易だったということを意味するでしょう。

青いバラが存在しない――それは単なる未発見の花ではなく、生命の設計原理そのものに深く関わる、生物学的な必然だったのです。

だからこそ、人工的に青を再現しようとする試みが、今なお研究者たちを魅了し続けているのかもしれません。

ブルーベリーの青色は「構造色」だったと判明!

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元論文

Natural Blues: Structure Meets Function in Anthocyanins
https://doi.org/10.3390/plants10040726
The blue palette of life: A comprehensive review of natural bluish colorants with potential commercial applications
https://doi.org/10.1016/j.foodres.2024.115082
How Nature Produces Blue Color
http://dx.doi.org/10.5772/32410

ライター

朝井孝輔: 進化論大好きライター。好きなゲームは「46億年物語」

編集者

ナゾロジー 編集部