36協定・労働基準法対応の必要性
企業は36協定の遵守・記録義務を正確に果たす必要があります。36協定とは、労働基準法第36条に定められた労使協定のことで、法定労働時間を超えて労働させたり休日労働をさせたりする場合には、企業と労働者の間で協定を結ぶ必要があります。
記録保存義務(3年間)や、労使協定の締結・更新の管理が必要で、36協定を締結せずに残業や法定休日出勤をさせたり、上限を超える時間外労働をさせたりした場合は法律違反となり、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
2019年4月から大企業で、2020年4月から中小企業で施行された改正労働基準法では、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超える時間外労働は、36協定を締結していれば可能ですが、原則月45時間・年360時間までと上限が設けられています。
勤怠管理システムでは、このような法令に対して対応する機能が搭載されています。
- システムで残業上限を自動チェック
- 月45時間超過時点で管理者にメール通知
- アラート機能による36協定違反の防止
- 時間外労働の上限値や警告値の基準に達するとアラート表示
勤怠管理システムは多様な機能を備えており、導入することで業務効率化や法令遵守の支援が期待できます。しかし一方で、コスト負担や運用面での課題も存在します。メリットとデメリットを正しく理解し、自社に適したシステム選定を行うことが重要です。
導入メリット|業務効率化・法令対応・従業員満足度の向上
勤怠管理システムを導入することで、業務の効率化やコンプライアンス対応が進み、従業員満足度の向上が期待できます。特に、出退勤データの正確な記録と集計作業の自動化により、人事部門の負荷軽減につながります。
主なメリット
- 出退勤記録の正確性向上
- 勤怠データの集計・分析業務の自動化
- 有給休暇や残業時間の可視化
- 勤怠状況のリアルタイム把握
- 不正打刻の防止とコンプライアンス強化
- 人事担当者の業務負荷軽減と作業時間短縮
- 働き方改革推進による従業員満足度の向上
導入デメリットと注意点|コスト・定着支援・運用負荷
勤怠管理システムは便利な反面、導入には初期投資や運用の定着に一定の課題が伴います。社内のITリテラシーや現場の理解度によっては、スムーズな運用に時間を要する場合もあるでしょう。デメリットには、以下の点が挙げられます。
コスト面の課題
- 初期導入費用(システム設定・研修費用)の発生
- 従業員数に応じた月額利用料の増加
- 旧システムから新システムへの移行作業の負荷
運用面の課題
- 従業員数に比例して高額化する固定費
- 多様な勤務形態への対応に時間がかかる設定作業
- 勤怠打刻方法の混乱による定着遅延
スムーズな導入に向けた対策
- 目的や利用方法を従業員に周知徹底
- 使用方法の研修やマニュアル整備
- 段階的な導入とフォローアップ体制の構築