失敗しない勤怠システムの選び方【企業規模・課題別・タイプ別】

勤怠管理システムは多種多様であり、企業の規模や業種、抱えている課題によって適切な製品は異なります。ここでは、中小企業・大企業といった企業規模や、業種別のポイント、コスト面を重視するケースなど、具体的な選び方について解説していきます。

企業規模で選ぶ|中小企業・大企業の導入ポイント

自社の規模に応じたシステムを選ぶことで、コストと効果のバランスが取れた導入が実現できます。中小企業と大企業では導入目的や必要な機能が根本的に異なるため、それぞれに特化した選択基準を設けることが重要です。

  • 中小企業: 操作性とコストを重視した製品が適している
  • 大企業: 高度なカスタマイズや多拠点管理、他システムとの連携が重要
#### 中小企業向け|コスパ重視・簡単操作

中小企業には、操作性とコストを重視した製品が適しています。少人数でも使いこなせ、かつ導入費用を抑えられるシステムが求められるため、機能のシンプルさと導入のしやすさが重要な判断基準となります。

中小企業向け選ぶポイント
  • 操作画面は直感的で分かりやすいか
  • 初期費用・月額費用が予算に収まるか
  • 設定や運用が自社で無理なくできるか
  • サポート体制が整っていて相談しやすいか

中小企業では人事専任者が少ないケースが多く、操作が簡単で費用負担の少ないシステムが必要とされます。複雑な機能よりも、日常業務にすぐなじむ使いやすさが、導入成功のカギになります。

大企業向け|柔軟性・連携性・セキュリティ重視

組織が大きくなると人事制度や勤務ルールが複雑化するため、勤怠システムにも高い柔軟性が求められます。複数拠点の管理や他システムとの連携が可能で、企業ごとの細かい要件に対応できるかが、選定時の大きなポイントになります。

大企業向け選ぶポイント
  • 複雑な就業規則に対応できるか
  • 複数拠点や海外拠点にも対応しているか
  • 高度なセキュリティ対策が備わっているか
  • 既存の基幹業務システム(人事・経理・在庫管理など)と連携できるか

大企業では、単なる勤怠管理にとどまらず、人材戦略の最適化やグローバル拠点との連携、厳格なコンプライアンス対応が求められます。そのため、制度変更にも柔軟に対応できる拡張性や、他システムと連携できる統合性を備えたシステムを選ぶことが重要です。

業種で選ぶ:建設業・製造業・医療・小売・介護・派遣など

勤務場所・勤務時間・シフト制の複雑さなど、業種ごとに求められる管理要件は異なるため、業界特有のニーズに対応したシステムを選定することが重要です。

業種 おすすめ機能
建設業 現場単位での勤怠管理、GPS打刻、モバイル打刻対応
医療・介護 夜勤シフト管理、複雑な勤務パターン管理、早番・遅番対応機能
小売・飲食 レジシステム連携、アルバイト・パートタイマー管理、多店舗対応
製造業 交代制勤務管理、工場単位の勤怠集計、ライン別工数管理機能
派遣業 派遣先別の勤務実績管理、契約別シフト設定、スタッフ管理機能

業界特化型のシステムを選ぶことで、一般的な勤怠管理ツールではカバーしきれない現場ごとの細かな要件に対応でき、運用開始後のカスタマイズ工数やトラブルを大幅に削減することが可能になります。

業界ごとの注意点

業界ごとに働き方や管理方法が違うため、勤怠システムの選び方にも注意が必要です。業界特有の要件に合わないシステムを選ぶと、運用開始後にトラブルが起こるリスクが高まります。

こうした失敗を防ぐには、同じ業界の導入事例を参考にすることが効果的です。よくある課題やその対策を事前に把握でき、導入後のイメージもつかみやすくなります。実績が多いシステムを選べば、業界特有の運用にも柔軟に対応できます。

コスト・補助金を重視する場合の選び方

勤怠システムを低コストで導入したい場合、補助金制度の活用や無料プランの有無を必ずチェックしましょう。特に中小企業向けにはIT導入補助金の対象となるシステムも多く、うまく活用できれば初期コストを大幅に削減できます。無料プランや段階的導入、長期契約による割引もコスト圧縮に有効的です。

導入コストを抑える方法

  • IT導入補助金の活用(補助率1/2~2/3)
  • 無料プランの利用
  • 小規模スタートで段階的に導入を広げる
  • 長期契約による月額料金の割引交渉

システムの選定段階から、補助金対象か、無料プランが適用できるかを確認し、無理なく導入できるプランを選びましょう。低コストにこだわりすぎず、機能やサポート体制とのバランスを見ることも重要です。

IT導入補助金の活用と対象製品の確認方法

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に使える国の支援制度です。勤怠管理システムも対象に含まれており、条件を満たせば導入費用の一部を補助してもらえます。システム導入コストを抑えたい場合は、積極的に活用を検討しましょう。

勤怠管理システムを補助金対象として選ぶには、IT導入補助金2025の公式サイトに対象であることが記されているかを確認するのが基本です。

また、補助金申請には書類作成や手続きが必要で手間がかかります。IT導入補助金の公式サイトでは詳しい申請手順が案内されていますが、システム販売会社が申請サポートを提供している場合もあります。サポート体制の有無もあわせて確認しておくと安心です。

IT導入補助金2025(通常枠)の概要

  • 補助対象:中小企業・小規模事業者等
  • 補助率:中小企業1/2以内、最低賃金近傍事業者は2/3
  • 補助金額:ITツールの業務プロセスが1~3つまで︓5万~150万円/4つ以上︓150万~450万円
  • 申請期間:2025年3月31日から受付開始、2次締切6月16日17時まで
  • 公式サイト:https://it-shien.smrj.go.jp/

導入タイプ別で選ぶ|クラウド型 or オンプレミス型

勤怠管理システムを導入する際は、システムの運用形態を「クラウド型」と「オンプレミス型」のどちらにするかを選ぶ必要があります。それぞれに特徴とメリット・デメリットがあるため、自社の規模や運用方針に合ったタイプを選択することが重要です。

クラウド型|低コスト・リアルタイム管理がポイント

クラウド型は柔軟性・リアルタイム性に優れ、導入もスムーズです。インターネット環境があれば場所を問わず利用でき、アップデートも不要なため、特に中小企業での導入が進んでいます。

クラウド型の特徴
  • インターネット接続により場所を選ばず利用できる
  • 自動アップデートで常に最新機能が利用できる
  • 従業員数の増減に柔軟に対応できる
  • 自社でシステム構築が不要
  • モバイル対応でテレワークや外勤にも対応
クラウド型のメリット
  • 初期費用を抑えて導入できる
  • 遠隔でのシフト調整や残業申請が可能
  • リアルタイムで勤怠状況を確認・集計できる
  • 利用人数に応じた課金体系で無駄がない
  • 月額制を採用するサービスが多く、予算管理がしやすい

クラウド型は、初期コストを抑えたい企業や、リモートワークを取り入れたい企業に適しています。柔軟な運用やリアルタイムな情報把握を重視する場合に、有力な選択肢となります。

オンプレミス型:高セキュリティとカスタマイズ性がポイント

オンプレミス型は、セキュリティ重視の企業や独自要件がある場合に有効です。自社内のサーバーで管理するため、情報漏洩リスクが低く、細かい設定が可能な点が最大の特徴です。官公庁や金融機関、機密情報を扱う企業、大規模な組織での導入が多く見られます。

オンプレミス型の特徴
  • 自社サーバーで運用できる
  • 自社管理でセキュリティを高められる
  • 業務フローに合わせた細かなカスタマイズが可能
  • データの所有権と管理権を自社で保持できる
オンプレミス型のメリット
  • 高いセキュリティを確保できる
  • 独自仕様や複雑な勤務体系に対応しやすい
  • 外部ネットワークに依存せず運用できる
  • 自社に合わせたカスタマイズが可能

オンプレミス型は、セキュリティやカスタマイズ性を重視する企業に向いています。外部アクセスのリスクを最小限にしたい場合や、独自要件が多い場合に検討されます。