それでも、昨年の入管法改正では永住外国人の在住資格の取消事由を明確化し、また、「故意に公租公課を支払わないこと」を取消事由に明記したことで、永住者周りの制度も一歩前身したと言えます。
外国人の生活保護措置へ:無年金・低年金外国人増加による自治体の財政圧迫問題
さらにこの話は、【外国人の生活保護措置】にまで波及するため、今後はその点の手当もしなければなりません。
というのは、脱退一時金の支給を受けるということは、老齢年金の加入期間がゼロになるということですから、その後再度就労して保険料を支払ったとしても、無年金・低年金状態になります。
とすると、無年金或いは低年金の外国人が増加することよって、生活保護に繋がろうとする者が大量に出てきます。或いは、そのような状況の元外国人たる日本人が出てくることが予想されます。
既に直近10年間で脱退一時金支給の裁定件数が72万件ありますが、この分や今般の改正法の施行までに行われるものについては改正法の効果が及びませんから、そのインパクトを抑えなければなりません。72万件(人の重複あり)が全て日本国内に再入国して生活保護に繋がるわけではありませんが、予備軍と捉えることは合理的でしょう。
生活保護は自治体が4分の1負担、政府が4分の3負担であり、外国人は地域偏在しますから、自治体の財政圧迫の問題として把握されることになります。
だからこそ全国市長会など地方自治法上の組織も今回の法改正の要望を政府に行っていました。今後は個々の自治体毎に、既に脱退一時金を取得し再入国した外国人の数が把握できるようにするなど要望することが叫ばれています。
実は、統計データの収集や切り分け方も、この改正議論・要望の中で改善していきました。それは法改正の条文上の変化よりも、広範な影響を与えている面があります。
もう、次の戦いのフェーズに移っている、ということです。
編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2025年6月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。