
閣第五九号 社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案 (国民年金法の一部改正)
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案:参議院
国民年金保険法附則・厚生年金保険法附則の改正部分の画像を添付しておきます。
「滞在するとき」「再入国許可を受けているとき」には、脱退一時金の請求事由から除外されました。
これは、制度本来の趣旨に反し、日本人の雇用主と社労士、人材供給元国のブローカーが結託してボーナス感覚で受給させている例があり、帰国が条件なのに帰国せずに再度就労する者が後を絶たず、それを奨励しているケースが実際に存在していたため、その穴を塞ぐために行われたものです。
外国人労働者本人にとっては脱退一時金の支給だという認識すらない場合もあるため、今般の改正議論の中で、実務運用において、脱退一時金の制度の説明を徹底し、理解を促すことも盛り込まれました。
新旧対照表や現行法との異同は上掲の衆院可決時の記事を参照してください。
積み残された課題:永住者の請求欠格事由は無し、運用で止められるのか?
さて、積み残された課題もあります。
というのは、既に永住者に脱退一時金が支給されている例が当然のごとく存在していると報告されているところ、これは制度趣旨に反したものであり、しかし今回の法改正では永住者であることが請求欠格事由とはなっていない、という問題があります。
改正後の関連部分の規定は、厚生年金保険法の附則では以下の通りになります。
(日本国籍を有しない者に対する脱退一時金の支給) 第二十九条 当分の間、被保険者期間が六月以上である日本国籍を有しない者(国民年金の被保険者でないものに限る。)であつて、第四十二条第二号に該当しないものその他これに準ずるものとして政令で定めるものは、脱退一時金の支給を請求することができる。ただし、その者が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。 一 日本国内に滞在するとき。 二 障害厚生年金その他政令で定める 保険給付の受給権を有したことがあるとき。 三 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号(新設))第二十六条第一項の規定による再入国の許可(同法第二十六条の二第一項(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)第二十三条第二項において準用する場合を含む。)又は第二十六条の三第一項の規定により当該許可を受けたものとみなされる場合を含む。)を受けているとき。 四 最後に国民年金の被保険者の資格を喪失した日(同日において第一号又は前号に該当していた者にあつては、同日後初めて、第一号又は前号のいずれにも該当しなくなつた日)から起算して二年を経過しているとき。