ひとまず決着です。ただし、積み残された課題もあります。
外国人の脱退一時金制度改善を含む国民年金法案が参院で可決
国民年金法案を議決(令和7年6月13日):参議院
外国人の脱退一時金制度改善を含む国民年金法案(【社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案】)が参院で可決・成立しました。
ここで、国民年金保険と厚生年金保険の外国人の脱退一時金制度とは、短期間の滞在をする外国人を対象に、保険料の掛け捨てを防ぐために設けられたものです。
日本に短期間の滞在をする外国人でも日本国内に居住していれば国民年金或いは厚生年金に加入をし1、保険料も支払っています。が、短期滞在の外国人は、保険料を一定の期間(現行法では10年)支払った後に受給資格を得る老齢年金という形で受け取ることは通常はありませんから2、支払った保険料が無駄にならないようにするためにこうした制度が設けられました。
ただし、脱退一時金の支給を受けると、被保険者期間がその分はゼロになります。
この点、社会保障の二重負担を防ぐ目的の「社会保障協定」を締結している国の者は、被保険者期間の通算が行えるようになっており、外国人は日本での加入期間を自国での加入期間に参入できますが、やはり脱退一時金の支給を受けると年金の加入期間として通算されないこととなります。どちらを選択するかは本人の自由ですが、注意すべきことです。
外国人の脱退一時金制度は、当然ながら日本人は対象外あり、それをあげつらって「外国人特権」などと言っている人が居ますが、制度自体は公平性のために必要なものであり、批判の矛先を間違えたバズ狙いに過ぎず、邪魔でしかありません。
衆議院可決時の記事は以下でまとめています。
国民年金保険法附則・厚生年金保険法附則の改正

閣第五九号 社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案 (厚生年金保険法の一部改正)