特に高度専門職、クリエイティブな仕事でエントリー職は消えていっている一方で、建設や医療は底堅い。ロボット技術の限界からフィジカルな職種は当面安定と推測される。
今後の新卒はどうなる?
当然だが、新卒は仕事の知識や経験、実績がない状態でエントリーする。誰もがそうだったように、大学を出た後、3年、4年とキャリア形成をする中でスキルを付けて一人前を目指すルートが王道だった。しかし、この最初の期間で与えられるはずだった仕事がなくなってしまえば彼らの行き先はなくなる。
実際起きているのはAIが雑務(議事録、雑務、データ加工など)を代替することで、新卒の経験学習の場や雇用理由そのものが消滅している現象だ。「雑務→経験→上流工程」のキャリアラダーが崩落し、将来のシニア人材供給が途絶えるリスクがある。企業はコスト優先でAIを採用するので、このトレンドが続けば長期的に人材育成の空洞化が起きるだろう。
SNSやAI関連記事ニュースの投稿において、新卒の仕事を奪うケースが取り上げられているのを目にすることがある。30代システムエンジニアが顧客に「新卒を採用するより私がAIを活用して工数カバーする」と提案して顧客が承諾。これにより、同氏は単価1.3倍の年収アップを実現したという。
仕事ができるベテランがますます富み、「できる人」へのラダー外しにあう新卒や若手はどうすればいいのか?
日本への影響はどうか?
日本では新卒一括採用や終身雇用がバッファとなり、即時的な影響は限定的だ。数年以内に同様の危機が波及する予測もある。
まず起きるのはIT系メガベンチャーでエンジニア職の新卒採用の見送りだ。これは米国でセールスフォースがAIを理由に技術職の採用凍結の発表をしたのと同じ構図である。
より中・長期トレンドでは、雑務の自動化で新卒は「貢献できる仕事が蒸発」、そうなれば中途採用が優先される。特にAI使いが積極採用されるだろう。