さらに、メディアとの対立が深まり選手選考への批判を浴びたことで反省し、PSGではスター選手との軋轢を抑え、若手とベテランのバランスを重視。アクラフ・ハキミやドゥエを褒めて伸ばし、チーム全体の結束力を高めた。2月にPSGのナセル・アル・ケライフィ会長は、エンリケ監督を「世界最高の監督」と絶賛し、2029年まで契約を延長した。
カタールW杯の期間中、エンリケ監督はライブ配信プラットフォーム『Twitch』を通じてファンと交流したが、メディアとの対立がチームに悪影響を及ぼした。愛娘シャナさんの死も乗り越えた経験から、逆境での精神的な強さを学んだ。PSGではメディア対応を控えめにしつつも、チームビルディングに集中。CL決勝後、「我々がファーマーズ(農民)リーグだ!(1強の意味)」とプレミアリーグ4クラブを撃破した喜びをユーモアも交えて表現した。
カタールW杯でのスペイン代表の失敗から学んだことをPSGで実践し、欧州CLでは状況に応じた戦術変更、迅速な修正力、PK戦への準備、チームの結束力強化を通じて悲願の初優勝を達成したエンリケ監督。W杯での「パニックの5分間」やポゼッションの限界を克服し、進化した指導者像を示した。
エンリケ監督の成功は、失敗から学び適応する能力の証明である。ジョゼップ・グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)に次ぐ「異なるクラブでの3冠」の達成という歴史的偉業に繋がったのだ。