カタールW杯ではポゼッション偏重が裏目に出たため、状況に応じた戦術の切り替えの必要性を学んだ。PSGでは、ポゼッションだけでなく、カウンターやダイレクトプレーを織り交ぜた多彩なスタイルを採用した。
2024/25シーズンの欧州CLでは、チームの中心だったフランス代表FWFWキリアン・エムバペ(現レアル・マドリード)を失いながらも、フランス代表FWウスマン・デンベレをセンターフォワードにコンバートし、ナポリから獲得したジョージア代表FWクヴィチャ・クワラツヘリアや、弱冠20歳のフランス代表FWデジレ・ドゥエを積極的に起用した。
ラウンド16のリバプール戦(2025年3月6、12日)ではアウェイでのPK戦を制し、準々決勝でアストン・ビラ(4月10、16日)、準決勝でアーセナル(4月30日、5月8日)を撃破。決勝ではインテルを5-0で圧倒して優勝。相手に応じた戦術の変更が功を奏した。エンリケ監督は「スタイルを変えるつもりはないが、状況に応じて最適化する」と語り、柔軟性を強調して胸を張った。
W杯日本代表戦での「パニックの5分間」のように、急激な試合の流れの変化に対応できなかったことから、PSGでは試合中の選手交代やフォーメーション変更も頻繫に行い、流れを引き戻す力を見せた。例として、CLノックアウトフェーズプレーオフ、スタッド・ブレスト戦(2025年2月12、20日)では、革命とまで呼ばれたプレッシングによって主導権を握り続け、2戦合計10-0の圧勝を収めた。
メンタル面の強化、メディア対応
また、W杯モロッコ代表戦でのPK戦による敗退は準備不足とメンタル面の弱さが原因だったとし、PSGでは選手のメンタル強化とPK戦のシミュレーションを徹底。リバプールとのPK戦では、GKジャンルイジ・ドンナルンマが2本のキックを止めて勝利し、エンリケ監督は「PKは宝くじじゃない」と準備の重要性を強調し、W杯での反省を生かしている。