●この記事のポイント ・日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS」が、今年も京都で開催される。京都市内全体がIVS会場のようになり、祭的な雰囲気もつくられる。 ・IVSは日本のスタートアップが海外の急速な進化についていけていないのではないか、との懸念を持っており、IVSに海外スタートアップを招待する一方で、日本スタートアップ向けに海外ツアーも企画するなど、グローバル化を促進する。

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 世界は急速なスピードで変化し、進化を続けている。しかし、日本はその流れに乗り遅れ、取り残されてしまうのではないか――。日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS(インフィニティ・ベンチャーズ・サミット)」は、強い危機感を抱いている。

 2007年から開催されているIVSは、国内外の経営者や投資家、起業家が集まり、ビジネス機会、提携、資本提携を促進することを目的とする。参加者が適切な人々に出会えるプラットフォームへと進化しており、資金調達やビジネスパートナーシップ、人材獲得といった具体的な成果をもたらすよう設計されており、スタートアップがビジョンを共有し、潜在的な投資家やパートナーとつながる機会を提供している。

 IVSが日本のスタートアップの発展に大きく寄与しているのは疑いようもないが、そのIVSが危機感を抱く要因はどこにあるのか。IVS Globalの運営責任者を務めるのは、Whiplus Wangさん。日中英のトリリンガルであり、交換留学などで8つの大学に在籍経験を持つ国際派エンジニアだ。Whiplusさんに、IVSに参画した経緯や、IVS2025への意気込みなどを聞いた。

IVS Global責任者のWhiplusさんに聞く

――日本では約8年前から活動しているそうですが、具体的に活動内容を教えてください。

Whiplusさん  上海在学中は、スタートアップ系のイベントに継続的に関わっており、1000人規模のイベントを年間4本ほど開催していました。来日後は、ヨーロッパ最大規模のフィンランドのイベント「Slush」の日本版で、3年間MCを務めました。

――本業はITエンジニアだと伺っています。

Whiplusさん  はい、専攻は情報工学で、グローバルHRイベントや組織改善システムの開発に携わっていました。プライベートでイベント活動をする傍らSaaSのフロントエンドエンジニアとして働いていましたが、その後独立し、旅行プラン可視化アプリ「Journey Note」を開発・リリースしました。

 その後、東急プラザ渋谷で日本初のNFT個展を開催し、大きな話題を呼びました。約3か月間で7000人の来場者があり、これをきっかけに2022年4月からIVSにジョインすることになりました。ジョインしてからは「IVS Crypto」という日本最大級のブロックチェーンのカンファレンスを立ち上げ、そこで運営責任者をやらせていただきました。今年は「IVS Crypto」から領域を拡大し、「IVS Global」というブランドにアップグレードして、引き続き責任者を務めています。

――鉄道で旅行するのが趣味だということですが。

Whiplusさん  ずっと鉄道が好きで、実は日本に来た理由の1つでもあります。大学3年のときに全米を列車だけで一周したり、日本では3年前、スターバックスが1カ月限定で「ご当地フラペチーノ」キャンペーンを行っていましたが、その際、各地のフラペチーノを飲むために47都道府県すべてを回りました。

 最近はIVSの活動と並行して、陸路での世界一周にチャレンジしています。中央アジアのウズベキスタンやタジキスタンまでは船と列車で行きましたので、今のところまだ4分の1程度の進捗ですね。