2020年12月28日、バハマのビミニからフロリダ州レイク・ワース・ビーチへ向かっていた一隻のボートが、20人の乗客と共に忽然と姿を消した。
そのボートは、約8.8メートルの青と白の「マコ・カディキャビン・ボート」。マコ・ボートは、フィッシングやクルージングに適した頑丈な船体と、悪天候時にも対応できるキャビン(船室)を持つことで知られる、比較的小型のプレジャーボートだ。
しかし、この信頼性の高いボートが消息を絶った海域は、あの悪名高き「バミューダ・トライアングル」だったのである――。

マイアミ、バミューダ、プエルトリコを結ぶこの三角形の海域は、過去に数多くの船舶や航空機が不可解な失踪を遂げた場所として世界中にその名を知られている。
アメリカ沿岸警備隊などは、84時間にわたり約4万4030平方キロメートルという広大な範囲を捜索したが、ボートや乗客の痕跡は一切見つからず、捜索は2021年1月1日に打ち切られた。
さらに謎を深める出来事が起こる。失踪から約半年後の2021年6月24日、タークス・カイコス諸島沖で、20人の遺体を乗せたボートが漂流しているのが発見されたのだ。地元警察は犯罪の痕跡はないと発表したが、ボートがどこから来たのか、乗客の身元、そして死因といった情報は一切明らかにされなかった。
この漂流ボートが、失踪したマコ・ボートと同一のものかは不明だが、乗客数が一致する点や、情報の不透明さが、両事件の関連性を巡る憶測を呼んでいる。
2025年の現時点でも、この二つの事件の真相は深い謎に包まれたままだ。乗客の名前すら公表されないという異常な状況、バミューダ・トライアングルの神秘性、そして漂流ボートの不可解な発見は、陰謀論や超自然現象といった様々な噂を掻き立てている。この記事では、考えられる仮説を深掘りし、真相に迫る手がかりを探っていく。
