これに対して県は「風致に益するものは人民の適宜に任せて保存を容認する」と方針転換、これにより2棟の櫓が保存され、城跡公園として整備される契機となったのです。

こうして廃城は、早期の建物払下げ・解体を経ながらも、土地・石垣・樹木は一部保存され、行政庁舎や学校、公園、あるいは鉄道用地へ転用されました。

地域や旧藩士の保存運動を背景に景観としての価値が再評価される例もあり、多様な運命をたどったのです。

 

さまざまな偶然や有力者の尽力によって解体を免れた城は今日ではランドマークとして地域の中心にあり、そうでない城も公的機関の庁舎や公園などに生まれ変わり、形を変えて地域の中心にあります。

江戸時代から現在に至るまで、城は多くの地域でその中心にあり続けていると言えるでしょう。

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参考文献

Nara National Research Institute for Cultural Properties Repository: 010 Ⅱ関連論文 1.存城と廃城 -城はいつ終わったのか-
https://repository.nabunken.go.jp/dspace/handle/11177/6593

ライター

華盛頓: 華盛頓(はなもりとみ)です。大学では経済史や経済地理学、政治経済学などについて学んできました。本サイトでは歴史系を中心に執筆していきます。趣味は旅行全般で、神社仏閣から景勝地、博物館などを中心に観光するのが好きです。

編集者

ナゾロジー 編集部