会話の後半をうまく運ぶには、“相手の反応に気づく力”が重要です。
ここからは、クラフト氏の提案する残りの4つの基本を見ていきましょう。
4. 相手を観察する

セラピストが優れた会話を行えるのは、言葉だけでなく相手の非言語的なサインにも目を配っているからです。
相手が身を乗り出したり、目を合わせてきたら「話したいサイン」かもしれません。
「手を動かして何かを言おうとする」サインも見逃さないようにしましょう。
一方、視線をそらしたり、そわそわしたり、スマホを触り始めたら「退屈しているサイン」です。
会話しながらも、相手の姿勢・目線・沈黙などに注意を払い、「そろそろ話を切り上げようかな」「ここで話を振ってみようかな」と調整していくことが、会話をうまく運ぶ鍵になります。
5. 視点の違いに気づく
日常会話では、私たちは無意識のうちに「自分の視点」で話しています。
例えば、旅行の話をするときに「例のあの温泉さ!」と言っても、相手がその場所を知らなければ、会話は通じません。
温泉の存在は分かっていても温泉に入ったことがなければ、あなたの話についていけないかもしれません。
こうした“視点のズレ”を防ぐには、「相手がこの情報を知らないかもしれない」という意識を持つことが大切です。
全部を丁寧に説明する必要はありませんが、相手の知識や背景を想像して言葉を選ぶようにすれば、誤解や食い違いを減らすことができます。
6. わかりやすく話しているつもりが一番危険
自分では「ちゃんと説明したつもり」でも、実際には相手に伝わっていないことがよくあります。
ある研究では、こちらが「これなら伝わるはず」と思って話しても、半分の確率で誤解されていたというデータも出ています。
それは相手に伝えた言葉が、2つの意味にとれる曖昧な文章だったからです。
例えば日本語では、「いいです」という返事には「承諾」と「断り」の2つの意味があり、この言葉だけではお互いの意思を掴みづらくなります。