このような不合理な慣習に直面したとき、従業員の皆さんはどう行動すべきでしょうか。

まず大切なのは、その謎ルールが法的に問題ないのかを確認することです。

例えば、男女雇用機会均等法では性別による差別的取扱いを禁止しており、女性だけ来客にお茶出しといった慣行は違法となる可能性があります。また、労働基準法では残業代の支払いや有給休暇の取得などについて明確な規定があります。

次に重要なのは、同僚や上司との対話です。なぜそのルールがあるのか、どのような目的があるのかを丁寧に尋ねてみましょう。時には単なる思い込みや、古い慣習が無意識に続いているだけというケースもあります。

ときには、会社としても非効率な謎ルールに気づいてはいても、「だれも文句を言わないから」という後ろ向きな理由で放置していたものが「なぜですか?」という素朴な問いかけをきっかけに、見直されるかもしれません。

また、社内の相談窓口や労働組合を活用するのも一つの方法です。一人で立ち向かうのは心理的負担が大きいものです。組織内の適切なルートを通じて問題提起することで、個人への反発やリスクを軽減できる場合があります。

どうしても社内で解決できない場合は、労働基準監督署や都道府県の労働局、専門家への相談も検討しましょう。冒頭の大学教員のケースのように、法的手段に訴えることが最後の選択肢となることもあります。

企業側が取り組むべき改革

一方、企業側はどのような姿勢で臨むべきでしょうか。

まず重要なのは、既存の慣習や社内ルールを定期的に見直す機会を設けることです。なぜこのルールがあるのか、現在の社会情勢や法令に照らして適切かを検証する必要があります。

筆者は残業削減のご相談も多く受けていますが、業務の棚卸しをするという最初の段階で、なんのためにやっているのかわからないチェックリスト等の謎ルールが発見され、それを改めることによって非効率なプロセスを改善した例があります。