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宮崎産業経営大学で職場結婚をした40代男性教授と30代女性助教が「夫婦共稼ぎはご遠慮いただく不文律がある」という理由で女性助教が雇い止めを通告され、訴訟に発展したニュースが報じられました。しかも大学側は処分に非はないとして徹底抗戦の構えです(※)。

社内結婚の場合に女性側が退職するという不文律は、1970年代までは広く見られましたが、もうすっかり過去のことになったと思っていたので、このニュースを見て驚きました。同様の感想を抱く読者も多いのではないでしょうか。

この大学は極端な例ですが、このような前世紀の遺物ともいえる意味不明な慣習や謎ルールは、現代の日本企業にも依然として存在しています。

ハラスメント問題を中心に扱う社会保険労務士として、職場の謎ルールにどう対処すべきか、従業員の対応法と企業側への提言をお伝えします。

※なお、3月21日に和解の成立が報じられました。

職場の謎ルールの実態

「なぜそんなルールがあるの?」と首をかしげるような職場慣習に悩まされている人は、現代でも多数います。

例えば、上司より先に帰宅できないという慣習。このために、仕事はすでに終わっているのに、帰ることができず仕事をするふりをしている……という無駄な時間を過ごす人もいます。

女性社員だけが来客へのお茶出しを強いられるケースや、有給休暇を取得するとき、会社の許可が必要とされるケースも後を絶ちません。

営業職は残業代が出ないとしている会社もいまだにありますが、これは明らかな労働基準法違反です。実際に残業しているのにその分の賃金と割増が支払われてないとしたら、労働基準監督署に相談すべきところです。

また別の企業では「長時間労働は美徳」という風潮が根強く、早く仕事を終えて帰る社員が「チームへの貢献度が低い」と評価されていたのです。

これらの慣習の多くは法的根拠がなく、単に「昔からそうだった」という理由で続いているケースがほとんどです。なかには明らかな差別や法令違反に該当するものもあります。

従業員はどう対応すべきか