未来のことは誰にもわからないし、特にAI領域は人類がかつて経験してきた変革とは「自律性」という面であまりにも特異的で想像がつかない。その前提でも、目先は仕事をして生存権の確保が重要というのはれっきとした事実である。ここからは進化するAIを意識しつつも、人間の仕事が残る想定で何を学ぶか?を考えたい。
結論として、AIを外部脳として活用することが鍵だ。既存の技術に外部LLMを組み合わせ、労働生産性を高める。
筆者自身、生成AIを活用して仕事の効率化を進めたことで、これまで出来なかった新たな仕事を受ける余白が出来ている。過去のToDoリストを見直してみると、数年前の自分がやっていた2倍以上の成果物を同じ時間でこなせている。これは紛れもなくAIのブーストがある。
また企業でも、三菱商事はDX人材育成プログラムを通じて文系社員を「AI活用リーダー」に転換させ、業務改善PoCを成功させている。
「これからITを学び直すのはハードルが高い」と感じている人にも差し伸べる手がある。Googleの「AI for Everyone」(Coursera、無料)やMicrosoftの「AI Business School」は、プロンプト設計やデータリテラシーの基礎を学べる初心者向けコースだ。まずは小さな業務改善から始めてスキルを蓄積すればいい。
また、AIガバナンスや生成AIモデルの監査、量子コンピュータを前提としたシステム構築、サイバーセキュリティ対策など、テクノロジー由来の新たな仕事が注目されている。まだ世界から「すべての仕事が消える」という心配はないだろう。
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AIは「職を奪う脅威」ではなく「職務を再設計するレバー」だ。量的不足と質的ミスマッチが交差する次の2〜3年が分岐点。個人も企業も、危機を前提にキャリアと組織を再設計することで、就職難と呼ばれる専攻さえ次世代の成長エンジンに転換できるだろう。