菊永:産業界で使うというのが一つのゴールです。対象物も色々あるのですが面白いと思うものの一つに車などのモビリティがあります。車が走っていくと空気と摩擦していって車体に静電気が溜まるようになるんですが、そのせいで空力が変わってしまうという報告があります。

そのため静電気除去シートとか貼ったりすると効果があるようなんですけど、あれも静電気がどこに溜まっているのかよくわからないので、大体この辺という当たりをつけて貼っているようです。

でもそういう問題も、静電気を可視化することでもっと効果的利用できるようになるかもしれません。

ーー静電気の可視化で燃費をよくできるというのは期待が膨らみますね。では最後にお二方から、研究者の道を志す人や科学に興味がある人にもし何かメッセージなどあればお願いします。

菊永:研究職というのは、結構驚きの連続もあるんです。基本的にはしっかり考えて実験することが多いんですけど、予想と違うことが起きるとワクワクしながら実験しています。このように楽しんで実験やってるときが研究者やっててよかったなと思いますね。とにかく研究職は楽しいよ、ということを伝えられたらいいかなと思います。

寺崎:小さい頃ってみんなワクワクして生きていると思うんですよね。色々なことに対してなんでだろうなって考えたり。でも「考えても分からないからやめてしまおうかな」とか、「生きていく上では役に立たない」みたいなことを言われちゃうとか。

でも多分その小さな身の回りのワクワク感が今の研究の原動力に繋がっていると思っています。科学のことを考えるときも一つの方向から見たら分からなくても、なぜだろうなという気持ちで他のところから見ると当たり前のことのように思えたり。人生も同じだと思うんですけども。なぜだろうな?という気持ちは是非失わないでほしいです。それが皆さんの人生のワクワクに繋がっていくと思います。

Credit:産業技術総合研究所