寺崎:そうですね。菊永さんが静電気の専門家で、どれくらいの電荷が来ているという情報については聞いていましたので、「その量で機能しそうな発光材料ってなんだろう?」という観点で絞り込めた状態からスタートできたのは大きいと思います。このように他の専門家だけが聞いていたら逃しそうな情報を拾えるというのが産総研の強みだと私は思っていますね。
研究の今後と未来の研究者に向けて
静電気発生器からの電荷の放出により、静電気発光材料が発光する様子
ーー指を蛍光体に近づけると発光するという実験の様子を動画で公開されていると思うのですが、それをみたときに結構指と蛍光体が離れているように見えたんですよね。あの距離でも光るものなんですか?
菊永:それは私達も驚いたことなんです。「なんで光ってるんだ!?」って。
ーーえ、そうだったんですか!?
菊永:静電気当てたらバァーって光らないかなと思い指を近づけたら「めっちゃ光る!」って。その後考察していったら「静電気が発生しているところと指との間で電気が流れているんだろうな」という仮説が立ったのですが色々試してみるとそうとしか説明がつかなくて。こういう現象があり得るんだっていうのをこの発光材料を見つけて初めて知りました。
ーーでは動画に関しては最初からああいったものを作ろうと思ったのではなく、結果的にそうなった、というわけなんですね。
菊永:そうなんです。あれに関してはどちらかというと静電気で光るライトセーバーを作るというのが一番最初の目論見でした(笑)。
寺崎:で、間違いなく驚くたびに飲みに行って話し合ってますよね。「あれ起こったことって本当かな?」みたいな話をして(笑)。
菊永:そうそう(笑)。説明がつかないというか、常識と外れることが多くて、「え、こんなことある!?」みたいな。ずっとそうやって悩みつつ驚きつつ、そして楽しみつつやっています。
ーーお話を聞いているだけでも普段楽しんで研究をされていることが伝わってきます。ちなみに静電気の可視化の研究に関して、今後の展望ってなにかあったりしますか?