お金の発明こそが、人類文明の真の繁栄を可能にしたのです。
なぜなら、自分で物を作れなくても、購入できるようになったからです。
このことで生活に自由と選択肢が生まれました。
必要最低限の生活用品で自給自足するのではなく、自分の職業を選べるようになったのです。
農夫、仕立て屋、船長、商人など、さまざまな職業を選択できるようになりました。
「分業」と呼ばれるこの専門化により、人々はより知識を深め、技術を磨き、より複雑で有用なものを生産できるようになりました。
そして、すべての人々の生活の質が向上したのです。
また、お金のおかげで、将来のために貯蓄することも容易になりました。
仕事で稼いだお金の一部を貯蓄することで、新築の家など大きな買い物もできるようになったのです。
当然、人々が貯蓄をするようになると、そのお金を安全に保管するための新しい方法が求められるようになりました。
こうして、銀行が誕生しました。
人々は硬貨を安全に保管してもらうために銀行に預け、「預り証」を受け取ります。
後に、「預り証」と引き換えに預けたお金を引き出すことができるのです。

銀行に保管してもらった金貨を、その「預り証」を渡し引き出します
やがて、この銀行が発行した紙の「預り証」自体が、一種の通貨(紙幣)となりました。
なぜなら、その「預り証」は他人と交換でき、交換した相手は、その「預り証」をその分の金貨に交換することができたからです。
実際、今日の通貨の名称の多くはこのシステムに由来しています。
たとえば「ドル」という名前は、かつてスペイン語で「金の重量単位」を意味していました。
紙幣が普及すると、政府は紙幣で換金できる金を蓄えていなくても、簡単に新しいお金(紙幣)を印刷することができました。
歴史上、これは政府が新しいお金を作り出すための一般的な方法でした。 なぜなら、税金を徴収するなどの他の方法よりも、紙幣印刷のほうが簡単だったからです。