お金が登場する以前の社会では、人々は「物々交換」によって、モノを交換していました。しかし、これにはすぐに限界がきます。

物々交換は、

「自分の持っているモノ」を相手が欲しがっていて、 「自分の欲しいモノ」を同じ相手が持っている、

という、そんなレアな相手がいた場合にのみ、交換が成立します(「欲求の二重の一致」と言います)。

例えば、ボブが魚を持っていて、トムが飲み水を持っているとします。

お互いが相手の持ち物を欲しがった場合、ボブとトムの二人は、魚と水を直接交換することができます。

しかし、もしトムが、ボブの魚を欲しがっていない場合、ボブは水を欲しければ、まず他の誰かと「トムの欲しい何か」を交換し、その後でそれと水を交換しなければなりません。

これが「間接交換」です。

歴史上のさまざまな社会では、「誰もが欲しがる特定のモノ」がありました。

「誰もが欲しがる特定のモノ」を持っていれば、それとの交換に応じてくれる相手を探すのは簡単です。

「誰もが欲しがる特定のモノ」は、「通貨(お金)」と呼ばれるものになりました。

人類の歴史を通して、塩、タバコ、穀物、貝殻、家畜、毛皮など、あらゆるものが通貨として使われてきたのです。

様々なモノが「通貨」として使われてきました

やがて多くの社会は、いくつかの金属を通貨として使うようになりました。

例えば、金や銀です。これらは、通貨の最も望ましい形態でした。

なぜでしょうか?

多くの社会の人々は、これらの金属を、装飾品や贅沢品、工業用として価値あるものと見なしましたが、それだけではありません。

金属通貨には、他にも多くの利点があります。

金属は壊れにくく、均一で分割可能です。

純金の2オンスはどれも同じ量であり、硬貨に加工すれば持ち運びも容易です。

また希少性が高く採掘が難しいため、木から生えるかのように新しいお金をたくさん作ることはできません。