しかし、すべてが絶望的な内容だったわけではありません。
投稿全体の一部ではありますが、希望や和解、問題への対処法に関する話題も見られました。
家族とどう向き合うかについてユーザー同士が助言を交換し、たとえば陰謀論の話題を避けながら家族行事を何とか無事に過ごす工夫や、COVID-19 や政治の話をする際の注意点、精神的な距離感の保ち方などが議論されました。
実際に Qアノン を脱した家族と関係を修復できたという成功談も共有され、同じ境遇の人々への励ましとなっていました。
特に注目すべきは、現実的な問題への対処に関するトピックが人気を集めていたことです。
投稿の中でも高い支持を得ていたのは、パンデミック下での家族間対立――例えばワクチン接種やマスク着用、ソーシャルディスタンスを巡る意見の食い違い――への対処法や、陰謀論を信じる家族と過ごす年末年始のイベントの切り抜け方といった実践的な相談でした。
また、愛する家族と対話する方法を求める投稿も広く共感を集めており、多くの人が可能であれば関係を修復したいと願っていることがうかがえます。
分析から、陰謀論に傾倒する人の家族内での立場も実に様々であることが明らかになりました。
投稿では信奉者として「母」「父」「兄弟姉妹」「夫・妻」などあらゆる家族が言及されており、特定の年代や性別に限らず誰もが Qアノン に染まりうる現実が浮かび上がっています。
さらに、この掲示板は当事者同士の支え合いの場ともなっていました。
多くのユーザーは自分と同じ悩みを抱える人々がいることに救われたと語り、コミュニティへの感謝を述べています。
実の家族関係が耐え難いほど悪化した場合は、気の合う仲間と「選択家族」を築こうという声も見られました。
なお、投稿者たちの間では Qアノン は明確に「カルト」として捉えられていました。
掲示板では Qアノン による急進化の過程が、麻薬やアルコールの依存症に陥った家族を支える場合に似ているとの指摘もあり、いわば脱洗脳が必要だというニュアンスで語られる場面もありました。