これほど膨大なテキストを分析するため、フィリップス氏は BERTopic と呼ばれる機械学習手法を用いて投稿内容を自動的に分類しました。

BERTopic は文章の意味に基づいてテーマをグループ化できる AI アルゴリズムであり、この分析により掲示板上の議論が58トピックに分類されたのです。

その中でも特に出現数が多かったのは「深い悲嘆・喪失感」「恐怖・不安」「家族行事での衝突」「パンデミック関連の対立」などで、最多トピックだけで全体の 12%弱を占めており、多くの投稿に共通していたのは深い心の傷でした。

悲嘆や絶望、不安、恐怖といったテーマが頻出し、投稿者たちは自分がまるで家族を「カルト」に奪われ、生きながらにして死別したかのようだと感じていることが伝わってきます。

データにもそれが現れており 「誰が QAnon を信じているのか/信じていないのか」についての話題ではfamily(家族)、mom(お母さん)、dad(お父さん)、mother(母親)、father(父親)、brother(兄・弟)、sister(姉・妹)、husband(夫)、wife(妻)、kids(子どもたち)などの近親者の単語が最も多くみられました。

またそれらに連動してgrief(深い悲しみ)、worried(心配している)、scared(怖がっている)、afraid(恐れている)、upset(動揺している)という「悲嘆」「不安」「恐怖」を表す単語が多く出現していました。

これらは近親者が陰謀論に捕らわれたことについて多くの人々が嘆きをあげていることを示しています。

たとえばある投稿者は「私は打ちのめされています。家族を失いました。生きている人を、まるで死別したかのように嘆き悲しんでいます」と綴り、家族を陰謀論に奪われた喪失感を訴えました。

実際、一部の投稿では、銃や食料を買い込んだり、マイノリティやLGBTQ+への敵意が強まったという証言もありました。