私の田舎は兵庫県の山奥であり、米作りがそこそこ盛んである。

ただ今(記事執筆時)は5月下旬。8割方今年のコメの作付けは終わっている。米の種類はほとんどコシヒカリである。ご当地の銘柄米としては減農薬の特別栽培米「夢たんば」がある。

今年の水田風景は、昨年度まで休耕していたり豆類などコメ以外の作付けをしていた田んぼが水田になっている。

この辺りの稲作者の田んぼの広さは数反から数10反程度である。1反は約1000平米=10アール。

2点の対照的な例をあげる。

私の知り合いは兼業農家でコメは作っても大して儲からんと嘆く。苗をJAから購入して、機材の燃料費・管理費、肥料・農薬の購入し最終的にJAに納入する。一連のコストを考えると、非常にうまくいって〝片手も残れば良い〟と。〝片手〟とは5万円で1反あたりの収入である。むしろほとんどの場合赤字だという。

じゃあなんで米作りをやってるの?と聞くと。先祖代々の田んぼを放棄して荒れさせるわけにはいかない。自家用にすれば買うよりはそこそこ安い。

一方、後期高齢のオジは30反ほどやっている。一昨年まではあんまりやる気なさそうにしていたが、今期は俄然活気づいている。昨年までは放棄地然としていた田んぼも整然とならしており、やる気満々である。こちらは京阪神の個人消費者とも繋がっており、作付け前から問い合わせが殺到しているとか。青田買いだ。ほぼ言い値で買ってくれるとか。

要すれば小規模稲作者は、JA納入では儲からない。消費者への直販や小売業者と直に取引できる生産者は儲かるということ。

今後の問題——農業改革につながるのか

今回の米騒動は4つの問題を明らかにした。

米の生産者は儲かっていなかった 減反政策は本質的な問題ではない コメの収量が本質的に減っている 米生産者の将来

従来ほとんどの小規模米生産者は儲かっていなかった。時給10円ともいわれたが、機械化がされていても小規模生産者は逆に効率が悪く、作っても作っても赤字だった。今回、米の価格高騰は小規模でも儲かる道が見えた。さらには、自主流通——消費者と直につながればその道はさらに太くなる。