進次郎米(備蓄米)がようやく出回り始めたようである。

しかし、これは焼け石に水。進次郎米は大人気で、売り切れ続出だが長期的な米価の引き下げにはなんの役にも立たない。JA全農を敵視するような風潮にあるが、それに基づく改革はまったく本質的でない。特に消費者にとってはむしろ害悪。これは郵政改革の轍を踏むに等しい。

私は田舎で4反ほどの米作りをしている。無農薬・無肥料の自然農でやっている。

その経験から、まず3つのことを指摘したい。

減反政策はやっていない 気候変動のせいで米が小粒化するなどの要因で収量が本質的に減っている JA全農の影響力は低下していっている

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ポエム大臣再降臨

小泉進次郎——ポエムないしはイカサマ?

小泉進次郎氏は自民党農林部会長だった2016年に農協改革を唱えたが、結果は期待はずれだった。当時は農産物の販売をほぼ独占するJA全農(全国農業協同組合連合会)に対し、販売手数料や流通構造の見直しを求めたがまったくうまくいかなかった。

小泉氏は5月23日夜、東京都内で報道陣に対し「スーパー店頭には、流通経費なども含めて2000円(5kg)で並ぶ」と説明した。

会見する小泉農相NHKより

これは問題である。

まず、備蓄米というがこれはいわゆる古米や古古米さらには古古古米が結構な割合である。古米とは新米ではない古い米。今回の米騒動以前は新米5kgが2000円ちょいちょいで買えていたのだから、古米は味が落ちるので本来1000円代ぐらいの価値しかない。

古古古米に至っては論外である。食べたことのある人はまず居ない。

しかも、もうすぐ7月になれば九州あたりから早場米という今年の新米が出てくるので、昨年2024年産の備蓄米さえも古米になる。

しかもである、小泉氏はA・コープファーマーズ南長野店の店頭に並んでいた商品が念頭にあったらしい。この米は「国内産ブレンド米」として税抜き2990円で販売されていたという。この事例をさして2000円台が可能としたようだ税込で3230円——これってわかりにくい——2000円台なのか3000円台か——流石ポエム小泉!と看過するわけにはいかない。