こうした手法は、日本社会にとっても無関係ではありません。近年よくニュースでも問題になるSNSで犯罪メンバーの勧誘を行う「闇バイト」や、「JKビジネス」などの組織的売春は、高収入・簡単な短期バイトなど一見無害な募集広告に応募してきた人を、実際には違法行為に従事させるというやり方で実現されています。
こうした募集では、本人の“自由意思”のように見せかけながら、実際には情報を与えず、選択肢もないままに誘導し、抜け出せない状態へ応募者を追い込んでいきます。それがどれほど深刻な被害につながるかを、私たちはもっと早い段階から見抜けるようにならなければなりません。
今回の研究は、あくまでアメリカ国内の違法な性サービス業について調査したものですが、研究者はこの仕組みで、国際的な組織ネットワークも明らかにできる可能性があると指摘しています。

研究が進めば、日本における似たような犯罪に対しても、適用できるようになるかもしれません。
しかし、まずは危険な犯罪に巻き込まれる入口が、気軽な募集広告の中に紛れているという事実を理解し、私たち一人ひとりが警戒することが大切でしょう。
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参考文献
Unmasking human trafficking: New AI research reveals hidden recruitment networks
https://www.eurekalert.org/news-releases/1085034
元論文
Unmasking Human Trafficking Risk in Commercial Sex Supply Chains with Machine Learning
https://doi.org/10.1287/msom.2022.0304