次に研究チームは、投稿の内容をAIに分析させるため、機械学習による分類モデルを構築しました。
このモデルは、投稿に含まれる語彙や言い回し、価格帯、掲載時間帯などの特徴をもとに、それぞれの投稿が「サービス提供を顧客に案内する広告(サービス広告)」なのか、「働き手を募る意図をもつ広告(リクルート広告)」なのかを自動的に判別するよう設計されました。
さらに、各投稿に記載された電話番号やメールアドレスなどの連絡先情報をもとに、同じ連絡先が使われた複数の広告同士のつながりを追跡してみたのです。
その結果、地方都市で掲載された求人広告と、数日後に都市部で投稿された性的サービス提供広告が、同じ連絡先を共有しているケースが数多く発見されたのです。
研究が暴いた“違法店のキャスト供給ルート”
今回の研究が発見したのは、同じ連絡先が全く異なる地域で全然違う使い方をされているという事実でした。
たとえば、ある週の初めにテネシー州の街で「モデル募集」という求人広告が掲載された後、ニューヨークなどの大都市で「エスコートサービスをご案内します」(米国におけるデリヘルのようなサービス)などの広告掲載が、同じ電話番号を使っているといったパターンが頻繁に見つかったのです。
これらの求人広告には、「モデル募集」「高収入」など性的サービスとは明示せず、好条件の求人を装ったものが多く、内容だけを見ると健全な職業の募集にも見えました。
しかし、都市部でのサービス広告は明確に性的サービスを前提としており、両者が同じ連絡先で結ばれているという事実は、これらが偽装された求人であり、また連絡先を使いまわしている点からも違法性の高い業種である可能性を示しています。
研究チームはこの構造を違法な性風俗サービスの人身売買供給ネットワークの一部である可能性が高いと指摘しています。
特に地方で求人を出した、数日後に、都市部で顧客向けの性的サービスの広告が出るという時系列が見られたため、研修チームはこれは単なる偶然ではなく、求人に応募した人物が都市部で性的サービスの売りに出されるという流れを示したものである可能性が高いと述べています。